時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

【新外国人】フィル・クライン投手の分析と起用法を考える。

「クライン」という名前、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。一番有名なのはクラインの壺で知られるドイツの数学者フェリックス・クラインだろう。サッカー好きならイングランド代表でリバプールの若きサイドバックナサニエル・クライン。ファッションに興味ある方ならカルバン・クラインの名前やブランドを一度は耳にしたことがあるはずだ。経済学部出身なら、アメリカの経済学者でノーベル賞受賞者であるローレンス・クラインの「ケインズ革命」「計量経済学」を習ったことがあるかもしれない。ガンダムマニアならきっとラクス・クラインが真っ先に思い浮かんだはずだ。

私はウィリアム・クラインという映画監督を思い浮かべた。アメリカ出身の写真家だった彼は、1966年、フランス・パリで一本の映画作品を作る。Qui êtes-vous, Polly Maggoo ? (邦題:ポリー・マグーお前は誰だ? )というちょっと変わったタイトルを付けられたこの映画は、当時のフランスのファッション業界を皮肉交じりに描いた作品だった。映画に流れる音楽が好きでサントラも探して買ったこの映画だが、内容は決して一般大衆受けを狙ったものではなかった。それでも、写真家という視点から描かれた奇妙な描写や構図、演出は映画というより「動く写真」であり、50年以上経過した現在でもカルト的な人気がある。

f:id:baymeshi:20170129032747j:plain

身長201センチ、体重116キロ。高田GM曰く「複数球団と争奪戦」になったという27歳の豪腕投手に、多くのベイスターズファンは山口俊の穴を埋める活躍を期待しているようだ。先程紹介した「ポリー・マグーお前は誰だ?」には「ポリー・マグー」という彗星のごとく突如現れた若きスーパーモデルが登場する。ファッション業界は「まるで鏡の向こう側からやってきたかのような」彼女の登場に色めき立ち、「彼女は一体何者なのだ?」と噂になりやがて騒動になっていく。

「フィル・クライン。お前は一体何者なのだ?」

というわけで今回はこの投手を分析し、起用法を考えた。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

フィル・クライン 1989年4月30日(27歳)

f:id:baymeshi:20170129031722p:plain

【人 物】

f:id:baymeshi:20170129033012p:plain

アメリカ合衆国  オハイオ州コロンバス出身。

オハイオ州の州都にあたるコロンバスは学術都市として知られており、オハイオ州立大学もコロンバスに立地している。早速Twitterパットン妙なやりとりしていたが、オハイオ州立大学はカレッジフットボール屈指の強豪チームオハイオステート・バックアイズ」を要することで全米中に知られている。収容人数101,568人という超巨大スタジアムオハイオ・スタジアム」には、きっとクラインも何度か足を運んだことだろう。ちなみにクライン自身オハイオ州立大卒業生ではない。

2011年のMLBドラフト30巡目(全体924位)でテキサス・レンジャーズから指名され、プロ入りする。指名順位は低かったがプロ入り後は着実にキャリアを重ね、2014年に3Aラウンドロック・エクスプレスに昇格する。この時チームメイトだったのがスペンサー・パットンだった。他にも日ハム・田中賢介元巨人・ポレダが在籍しており、日本球界との接点もあったようだ。この年はセットアッパーとして9試合に登板、18イニング連続無失点と完璧な結果を残し、レンジャーズの選手としてメジャー初登板を果たしている。メジャー昇格後もミドルセットアッパーとして17試合に登板。防御率2.84と結果を残した。クラインに遅れること約一ヶ月、パットンもこの年メジャーデビューを果たしている。

2015年以降は、3Aクラスでは先発投手として起用されることが多くなり、安定した結果を残している。一方、メジャー昇格後は主に救援での登板が多く、思うような結果を残すことは出来なかった。2016年はフィリーズと契約し、3Aリーハイバレー・アイアンピッグスでは主に先発投手として起用されていた。このチームには今季からヤクルトに加入するブキャナンも在籍している。共にリーハイバレーのローテーション投手であり、年齢も同じ27歳。今年はセ・リーグ同士で投げ合う機会も訪れるだろう。さながらアメリカ版今永昇太VS原樹理といったところか。

【特 徴】

f:id:baymeshi:20170129014032p:plain

3Aクラスでは平均して10%近い奪三振率を誇り、三振奪取能力に関しては優秀な成績を収めている。制球面でも3Aクラスにおける3年間の平均与四球率が2.93%と比較的安定した成績を残しており、制球面による不安は少なそうだ。直近の2016年は与四球率が2.1%、奪三振率は10.2%となっている。外国人投手が日本で成功する条件として制球面での安定性が求められるが、クラインの平均与四球率2.93%は広島・ジョンソン(2.60%)、阪神メッセンジャー(2.96%)と比較できる水準の数値である。昨年の与四球率2.1%となると、外国人先発投手ではソフトバンク・バンデンハーク(1.76%)に次ぐ成績となる。バンデンハーク奪三振率も10.10%と高い投手だが、3Aクラスの成績だけなら、クラインは引けをとらない成績を残している。

一方、メジャークラスになると、3年間の平均奪三振率が8.67%、平均与四球率は4.7%まで上昇してしまう。マイナーではストレート、スライダーなどの球種で空振りを取れていたが、メジャークラスになるとバットに当てる打者も多いため、ストライク先行の投球が出来なかったことがメジャー定着を果たせなかった要因だろう。

ピッチングスタイルはMAX153キロのフォーシームとスライダーを軸に、チェンジアップ、シンカー、カットボールといった球種を低めに投げ分ける。昨年は特にチェンジアップが有効だったようで、決め球としても使用しているようである。MAX153キロのフォーシームもメジャークラスにおいては平均球速に過ぎず、カットボールやシンカーも特徴的な変化をもたらすことが出来なかったため、昨年は被打率.250と平均的な数字だったスライダー以外の球種(フォーシーム含む)は3割近い被打率だった。とはいえ、日本球界であれば201センチの長身からフォーシーム、スライダーを投げ込まれると相当打ちづらい投手なのではないかと思う。

www.youtube.com

キャリアハイの成績を残した2014年の投球(救援投手として登板)では、ストレート、スライダーともにキレがあり、このままいけばレンジャースのセットアッパーを担えるだけの実力はあったように思える。

www.youtube.com

こちらは2016年フィリーズ移籍後のマウンドだが、スライダーは決め球として有効だろう。メジャーで打ち込まれた2015年においてもスライダーの被打率は.206とほとんど打たれていなかった。縦の変化もあるので、ストライクゾーンから落とされると打者は手を出さざるを得ないだろうし、クラインの場合はコースに投げ分ける制球力も備わっているため、打者からしたら厄介なボールだろう。

以上をまとめると、特徴としては

①3Aクラスでは奪三振率、与四球率は優秀であり、安定した成績が期待できる。

②ストレート、縦スライダーが軸であり、近年はチェンジアップも決め球として有効である。

③先発・リリーフ両方とも経験がある。

【今後の課題と起用法】

f:id:baymeshi:20170129031042p:plain

推定年俸は1億5000万円。フロントの期待も大きな選手である。ウィーランドパットンにも1億近い年俸を支払っており、アメリカの独立リーグからハミルトンブランドンを引っ張ってきた頃を思えば相当出世した感があるが、活躍するかは未知数だ。

動画やスタッツを見た印象だけで言えば、クラインソフトバンク・バンデンハークを見た時と同じ印象に思えた。長身から投げる角度のある投球で低めに制球されたら打ち崩すのは相当困難だろう。課題があるとすればクイックモーションやボークといった投球動作であり、おそらく他球団が攻略の糸口を狙うポイントもそこにあるはずだ。その点はウィーランドパットンも同じことが言えるため、キャンプの段階からしっかり修正に取り組んでほしい。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

【新外国人】ジョー・ウィーランド投手の分析と起用法を考える。

早いものでブログを開設して一ヶ月が経過した。人間欲深いもので、比較的スローペースで更新する予定だったこのブログも、ブログ村に登録してからランキングを妙に気にするようになり、一つでも上の順位を目指すようブログ更新回数も急激に上がった。その結果、じわりじわりとブログを訪問していただける方も増えたようでなんだか嬉しい限りである。競争意識というのは一番のモチベーションかもしれない。そういう意味ではこのブログも横浜DeNAベイスターズもきっと同じだ。

headlines.yahoo.co.jp

競争意識でいえば、前回取り上げたシリアコも、今回取り上げるウィーランドも今年は「外国人枠」を争うライバル同士だ。怪我で離脱する事態がない限りロペスはおそらくレギュラーで確定だが、他の外国人枠は昨年勝負強さを見せたエリアンも含めて全く白紙の状態からスタートする。現時点でベイスターズが抱える外国籍の選手は6名。となると、確実に二人の選手は2軍で汗を流しながら一軍の機会を待つしか無い。

今日来日したウィーランドも、日本での新たな挑戦に対して自信を持っているようだ。果たしてウィーランドは先発枠、外国人枠の競争を勝ち取る事ができるのか。分析と起用法を考えた。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

ジョー・ウィーランド1990年1月21日(27歳)

f:id:baymeshi:20170126215159p:plain

【人 物】

f:id:baymeshi:20170127004142j:plain

アメリカ合衆国 ネバダ州リノ出身

ベイスターズにはアメリカ出身の選手がウィーランド含めて3名在籍しているが、ウィーランドは西部のネバダ州、パットンクレインは中西部に位置するイリノイ州オハイオ州であり、別の文化圏で育っている。ちなみに、かつてベイスターズに所属していたレス・ウォーランドオクラホマ州出身だ。

ネバダ州最大の都市はラスベガスだが、リノもアメリカで二番目に大きなカジノ施設を持つ都市であり、毎年多くの観光客が一攫千金を夢見てこの地を訪れている。“The Biggest Little City In The World”(世界最大の小都市)という街のキャッチフレーズを見るに、昔よくやったシムシティの街並みが思い浮かんだ。

2008年、MLBドラフトでテキサス・レンジャーズから4巡目(全体123位)指名され、2012年以降は3A以上のクラスに定着している。2012年、パドレスの選手としてメジャーリーグデビュー。ドジャース戦でプロ初登板初先発を果たすも結果を残すことは叶わず、その後は怪我(トミー・ジョン手術も一度経験している。)もあり、メジャーと3Aの間で奮闘していた。2016年はパシフィック・コーストリーグに所属する3Aタコマ・レイニアーズに所属。9月4日には週間MVPに輝くなど、14勝を挙げタコマの主力先発投手として活躍した。ちなみにタコマはマリナーズ傘下ということもあり、一時期は青木宣親とプレーしていたことになる。日本球界との繋がりで言えば、2015年に所属していた3Aオクラホマシティドジャースでは元広島・スタルツとも一緒にプレーしている。

【特 徴】f:id:baymeshi:20170126230312p:plain

ここ三年間は3Aでローテーション投手として活躍し、スポット的にメジャーリーグで先発機会を与えられているが結果を残すことはできなかった。3Aクラスでも防御率は3点台後半から5点台とかなり悪い印象だが、過去三年間のチームは打者有利のパシフィック・コーストリーグに所属していたこともあり、この数字でもおおよそリーグ平均の防御率となっている。

www.youtube.com

3Aにおける過去三年間の平均奪三振率は7.81%、平均与四球率は2.10%、ゴロアウトとフライアウトの比率を示すGO/AO%は平均で1.02%である。来日後、報道陣に対して「制球力に自信がある」と本人が語っていたが、与四球率が2.10%というのは制球力に優れている数字である。日本で活躍する投手の特徴として、制球力が一つの目安になるが、広島・ジョンソン(2.45%)、阪神メッセンジャー(2.91%)、9勝を挙げた2014年のモスコーソ(2.77%)と比べてもウィーランドのコントロールは遜色ないレベルだといえる。GO/AO%に関しては打球が飛びやすい気候でプレーしているということもあり、ややフライアウトが多い傾向にある。

www.brooksbaseball.net

トミー・ジョン手術を経験したこともあったが、今はその影響もなく、ストレートの最速は昨年で153キロ、平均球速は148キロとなっている。ピッチングスタイルとしては回転のきれいなストレートを軸に、チェンジアップ、ナックルカーブといった球種で球速差を出しながら抑えていく感じだろう。シンカー系の球種はほとんど使用していないようだが、フライボールピッチャーの傾向があり、今後はハマスタを本拠地とすることを考えると、シンカー系の球種や小さく変化する球種の習得は目指したほうが良さそうだ。

以上から、ウィーランドの特徴としては

①安定した制球力が武器で、四球から大崩れする投手ではない。

②ストレートにキレがあり、ピッチングスタイルはストレートが軸になる。

③フライアウトが多く、長打を打たれやすい傾向にある。

【今後の課題と起用法】

f:id:baymeshi:20170127001345p:plain

モスコーソも来日前は比較的制球力に優れていると評判のあった投手であり、ウィーランドと同じくフライアウトが多かったことがメジャーリーグで定着できない要因とされていた。来日後も前半戦は長打を浴びるケースが多かった記憶がある。しかし、ファームでツーシームを習得したことがきっかけで、徐々にゴロアウトが増えるようになり、結果9勝を積み上げ、ローテーション投手として活躍することが出来た。

www.baseball-lab.jp

この事はウィーランドだけでなく、同じ先発投手として期待されるクレインにも当てはまる話だろう。動画を見る限り、ストレートには威力を感じるし、日本式の柔らかいマウンドやボールを考えると平均球速は2~3キロ遅くなるかもしれないが、アメリカにいた時と同様にストレート主体のピッチングでもある程度通用すると思う。ただし、年間20試合以上先発機会があるとすれば、必ずどこかで打たれる時が来るだろう。モスコーソのようにいかにゴロアウトを取りにいくかを学ぶことは、ウィーランドが日本で成功を掴むか否か、重要なポイントになってくるのではないかと感じている。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

【新外国人】アウディ・シリアコ選手の分析と起用法を考える。

春季キャンプのメンバーが23日発表された。私の予想は果たして当たったのだろうか。

f:id:baymeshi:20170124232616p:plain

よく見てみると今永昇太の名前を忘れていた。予想以前の問題である。主力メンバー、期待の若手選手は順当に宜野湾入りの切符は手にしたようだが、事前に1軍入りを明言されていたルーキー水野滉也や手術明けの高城俊人宮崎敏郎らは2軍からのスタートとなった。高城や宮崎、あと石川雄洋やベテラン勢はコンディションに問題なければ実戦練習が始まるキャンプ中盤から一軍に合流するだろう。水野に関しては、合同自主トレでは問題無さそうだったが、何らかの理由があり1軍入りを見送られた。大学最後の試合となった神宮大会では本調子からほど遠い投球に終わったが、この時は試合前に高熱を出していたようである。まだ何も情報がないので要因は不明だが、水野は140キロ後半まで出せるストレートとスライダー、シンカーを軸にした変化球のキレが生命線の投手なだけに、現段階ではMAXで投げられる状態ではないということだろう。キャンプはブルペンでの投球練習よりも下半身、体幹強化に時間を充てるかもしれない。

新外国人選手も全員一軍スタートになったようである。パットン、クレイン、ウィーランドメジャーリーグでもそれなりの実績があるためファン、首脳陣も期待も大きくかけられている様子だが、三塁手候補として獲得したシリアコに関しては活躍を懐疑的で見るファンが多い印象がある。独立リーグからNPB入りを果たした外国人助っ人は他球団でも何名かいたが、多くの選手が独立リーグ時代のような活躍を見せることなくユニフォームを脱ぐ結果になっていることが一番の理由だろう。シリアコはテスト入団という形で高田GMの目に止まった選手だが、当然独立リーグ出身の外国人助っ人が苦戦を強いられている事実は把握した上での支配下契約のはず。また、シリアコが「保険」という形での獲得ならさらにメジャークラスの三塁手獲得もあり得たが、その動きも無さそうだった。

こういった経緯から個人的にシリアコ選手に関心が湧き、

ひょっとしたら活躍が期待できるのではないかと思い、分析と起用法を考えた。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

アウディ・シリアコ 1987年6月16日(29歳)

f:id:baymeshi:20170125041153p:plain

【人 物】

f:id:baymeshi:20170125042808p:plain

ドミニカ共和国 サンペドロ・デ・マコリス州サンペドロ・デ・マコリス出身。

州都であるサンペドロ・デ・マコリスは多くの野球選手を輩出している街で、サミー・ソーサ、ロビンソン・カノといった選手もこの街の出身である。偶然だが、エリアンもサンペドロ・デ・マコリス出身である。年齢は2歳エリアンが上だが、ドミニカから13915キロ離れた土地でまさか同じ街の出身者がいるとは思わなかっただろう。ちなみに兄のペドロ・シリアコも野球選手であり、レッドソックスブレーブスで一時期レギュラークラスの扱いになっていた時期もあった。

一方弟のアウディは、デトロイト・タイガース傘下のチームに所属するなど主に3Aクラスで活躍したが、メジャーリーグ昇格は果たせなかった。最後に所属した3Aコロンバス・クリッパーズは2014年、2015年と2年在籍しており、今オフ日本球界に復帰した村田透や、元西武・C.C.リー、元日ハム・モルケンらとはチームメイトだった。そのこともあり日本球界についてはある程度知識や興味はあったのかもしれない。

2016年はBCリーグ石川ミリオンスターズに入団。主力打者として活躍し、打率はリーグ8位、本塁打2位、打点5位と打ちまくった。特に故障も無さそうなので、BCリーグの好成績から打撃のコツを掴んでいれば大きな掘り出し物になると同時に、独立リーグの選手にも希望を与えられる存在になれるだろう。

【特 徴】

f:id:baymeshi:20170125024440p:plain

シリアコの過去三年間の成績を元に2017年の成績を予想した。

打率、本塁打、打点の予想成績は、3A時代の平均を元に2016年のセ・リーグ規定打席(443打席)で換算したものである。

打撃面での特徴としては、

①三振が多い打者である。

②四球を選ぶタイプの打者ではない。

③3A時代はそれほど長打力を発揮できる打者ではなかった。

という点があげられる。

BCリーグでは三振する前にヒットを重ねていたこともあり三振率は大幅に改善されたが、3A時代は三振率が20%前後となっており、昨年で言えばヤクルト・バレンティン(21.6%)、広島・新井貴浩(19.7%)といった打者に近いため、ミート技術に関して自信のあるタイプではなさそうだ。また、BCリーグに入団後も四球率は6~7点台となっていることから、比較的早いカウントからバットを振りにいくタイプであると考えられれる。選球眼に関しても自信があるタイプの打者ではないだろう。

www.youtube.com

3A時代の打撃はコースに関わらず強振している。梶谷のようにボールを強く叩く事を意識してスイングするといった印象で、中日・ビシエドのような生粋のホームランバッターではないが、外角球でも芯で捉えればスタンドインするだけのパンチ力はあるように感じる。

www.youtube.com

こちらは昨年の石川ミリオンスターズでの打席。二球目のカーブにタイミングが合わず空振りするものの、もう一球カーブが続き、コースも甘かったことから狙い撃ちしたように強振した。とはいえ、ブレーキング系の球種に対しては少し苦手な印象を受ける。

守備に関しては3A時代はユーティリティプレイヤーとして出場し、2014、2015年は内野の全ポジションを守っている。キャリアのスタートは遊撃手から出場しており、地肩は強い方なのだろう。2014年も17試合で遊撃手を守っているが、守備率は.945と結果を残せなかったこともあり、ここ最近は主に三塁手一塁手を守る機会が多くなっている。ただし、2015年は三塁手で守備率.960、一塁手で.977となっており、決して守備の名手というわけではなさそうだ。

【今後の課題と起用法】

2017年の予想成績はあくまで3A時代の成績を元に作成したものなので、実際にどういう成績になるかはシーズンが始まってみないとわからないが、例えば筒香嘉智の後を打つ5番・三塁手としては迫力不足な印象は否めない。一軍クラスの投手相手に勝負するためにはミート技術、選球眼の精度を上げることが必須になってくる。積極的に振りにいくタイプの打者であることから、自分が相手投手なら外角中心の配球でボールゾーンに手を出させることを狙う。外角球に対して強振せずライト前に落とす技術や、ボールゾーンを見逃せるような対応力が身につけばそれなりの結果は残せるのではないか。あとはBCリーグNPBでは投手の平均球速も大きく変わるため、ストレートに対しての対応も大きな鍵になる。独立リーグの野球も熟知しているラミレス監督をはじめ、メジャーで実績のあるロペス、同郷のエリアンシリアコにとってはプレーしやすい環境は整っているため、前評判を覆す活躍を期待したい。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

【広島東洋カープ編】なぜ新井貴浩は護摩行に向かうのか。

「声を出さないといけないというか、

出さないと気を失っていく。

そんな感じがありました」

f:id:baymeshi:20170123004027j:plain

www.nikkansports.com

セ・リーグの他球団分析も広島東洋カープ編で最後になった。昨年は日本全国のカープファンによる熱烈な声援に押され、セ・リーグ25年ぶりの優勝を果たした。カープ快進撃の象徴だった黒田博樹は引退したが、今年も昨年の勢いそのままにセ・リーグの中心としてベイスターズの前に立ちはだかるチームであることは間違いない。

何故カープはこんなにも強いのか―。その答えの一つに、毎年シーズンオフに新井貴浩が行う護摩(ごまぎょう)が考えられる。おそらく殆どの人は護摩行を体験したことが無いであろう。護摩行を終えた新井貴浩の顔面には多くの火傷の痕跡が残され、いかにも苦行であることを思い知らされるが、本人はすがすがしい表情を見せて達成感をメディアに語っている。護摩行をやらないと一年が始まった気がしない」なんてコメント、おそらく私は生涯で一度も言うことはない。しかし、昨年はついに長年の祈願が成就し、カープ25年ぶりの優勝を勝ち取る結果になった。こうなると我々は新井の護摩行パワーを見せつけられたと言ってもいい。実際、今年は堂林翔太石原慶幸護摩行に参加している。ベイスターズの選手全員で護摩行したら一体どんなことになるのか―。妙な期待は膨らむが、その前にそもそも「護摩行」とは一体なんだろうか?

現世での祈願成就を目指して祈りを捧げるという密教の修法。

護摩行またはお火焚きとは燃え上がる炎の前で全身全霊願いを込めて唱える煩悩を炎と一緒に焼き尽くす修行です。

その意義は呪術的な強い祈りの力をもって願いを叶えようというものです。

護摩の炉に細長く切った薪木を入れて燃やし、炉中に種々の供物を投げ入れます。

火の神が煙とともに供物を天上に運び、天の恩寵にあずかろうとする素朴な信仰から生まれたもので火の中を清浄の場として仏を観想します。

護摩は、紀元前2000年頃インドで始まり平安時代の頃に日本に伝わったとされています。

出典:護摩行・祈祷|日本の修行

日本の密教が独自に発展した修行が護摩行なんだろうと勝手に思っていたが、元々の起源はインドのヒンドゥー教の基礎になっているバラモン教の宗教儀礼のようである。火や水、風といった自然物に対する信仰がバラモン教聖典ヴェーダ』の教えであり、自らが行ってきた悪事・雑念(新井の場合はチャンスに打てないとかだろうか)が来世の運命を決定づけるという「輪廻転生」の考えが元になっているのが護摩行のようだ。それが仏教ととも日本に伝わり、密教の修行として今日も護摩寺では護摩行が行われている。ということは、インドでもまだ護摩行に近い宗教儀礼は残されているのかもしれない。

護摩行だけでなく、近年はスポーツ界でメンタルトレーニングというのが注目されるようになっている気がする。常日頃から野球におけるメンタルコントロールの重要性を訴えているラミレス監督もそうだが、移籍した山口俊もメンタルコーチを雇い心身面での成長が昨年の好成績に繋がったと言ってもいい。護摩行による苦行や達成感がいい意味での開き直りにつながっているとしたら、メンタルトレーニングとして効果もあるのだろう。実際、昨年の得点圏打率は好成績を残している。

護摩行の話はこのへんで終わるとして、広島東洋カープの分析に入る。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

広島東洋カープの分析】

チーム打率、チーム防御率ともにセ・リーグ1位であり、シーズン89勝を挙げるなど、交流戦明けから投打ともに他球団を圧倒する試合展開が多かった。上位打線は1番・田中広輔、2番・菊池涼介、3番丸佳浩で固定され、下位打線も鈴木誠也安部友裕と好調な打者がいたことからどこからでも得点できる理想の打線が完成していた。投手陣は前田健太の移籍、黒田博樹のコンデイション面での懸念もあり、開幕前は苦戦が予想されたが、野村祐輔、ジョンソンの2枚看板がキャリアハイの成績を残し、黒田博樹も10勝を挙げ、ルーキー岡田明丈も後半戦からローテーションに定着するなど、先発陣は一年間安定した結果を残した。救援陣もクローザー・中崎翔太を中心に、ジャクソン、ヘーゲンズ、今村猛といった選手がフル回転した。シーズンオフは比較的静かな動きにとどまり、ドラフトではストレートに力がある加藤拓也、左の床田寛樹と2名の大学生を指名したが、それ以外は高橋昂也、坂倉将吾、アドゥワ誠ら高卒ルーキー4名を指名。新外国人選手もリリーバータイプのブレイシアのみとなっており、引退した黒田博樹の穴を誰が埋めるのかが連覇に向けての重要課題である。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【投手陣】

f:id:baymeshi:20170122233428p:plain

実を言うと、昨年のチーム防御率は2015年を下回る成績だった。前田健太の穴はそう簡単に埋まることはなく、野村やジョンソンによる活躍もあったが全体的な失点数も20点ほど多い。とはいえ戦前の予想ではもっと投手陣の指標は悪化すると見られていたが、チーム防御率セ・リーグ1位になる大きな要因は救援陣の好投にあった。

f:id:baymeshi:20170122233330p:plain

先発投手がQSを達成し、救援陣がリードを守る試合展開になればほとんどの試合で勝利していた。強力打線の高い援護率もあり、シーズン通してカープは安定した試合運びが多かった印象だが、実際にホールド数、QS試合の勝率はセ・リーグ1位だった。オフの補強でセットアッパーとして活躍が見込まれるブレイシア、加藤拓也が加入し、ブルペン陣はさらに競争が激しくなりそうだ。

www.youtube.com

ヤクルト・渡邉大樹三塁打を打たれた打席は完全に失投で、大学生相手なら空振りを取れていたかもしれないが完璧に捉えられている。また1打席に何球かは甘い球が真ん中に集まる傾向にある。ほとんどストレートを投げているが、スプリットやカーブといった球種もあるだけに、実際プロでどういう投球するかはわからないが、まだ課題は多い印象である。とはいえ、一昨年ぐらいの中崎翔太も同じような力投型だったが、まさかクローザーとして活躍するとは思わなかったので、ストレートの被打率が向上したら一気に開花する可能性もある。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【野手陣】

f:id:baymeshi:20170123000941p:plain

f:id:baymeshi:20170122230919p:plain

一方、打線、走塁関連の指標は大きく成績が向上した。特に、盗塁数は選手構成はほとんど変化しなかったのに劇的に増加し、秋季キャンプからの走塁改革が実を結んだ形になった。盗塁数が増えたことで犠打数も大きく減少し、より攻撃的なスタイルで戦っていたことがわかる。とはいえ、キャリアハイの成績を収めた選手が多かっただけに、しっかり対策を練ってくるであろう今年は昨年と比べて思うような攻撃が出来ない試合も増えるだろう。ブレイクが期待される西川龍馬、野間峻祥やベテランの天谷宗一郎小窪哲也赤松真人らが主力選手の不調、怪我をどれだけカバーするかが重要になりそうだ。新井貴浩に同行し護摩行を受けた堂林翔太にも成果が求められる。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【キャンプの注目ポイント】

今キャンプ最大の目標は黒田博樹の穴を埋める先発選手の発掘だろう。24試合の先発機会、151イニングの投球回数を投げぬいたベテラン右腕の穴を一人の投手で埋めるのは並大抵ではないが、打線の援護率、救援陣の安定を考えると最低限5イニング任せられる先発がローテーション投手とは別に3人は欲しいところである。野村、ジョンソン、岡田がシーズン通して一軍にいることが前提で、先発に転校するであろう大瀬良大地、ヘーゲンズに加え、福井優也九里亜蓮、戸田隆矢、薮田和樹らが対外試合、オープン戦でしっかり成績を残すことが重要になってくる。おそらく今シーズンはカープ以外の5球団が重点的にカープ対策を練ってくるはずなので、2年続けて5点台近い援護率は過度に期待できない。となると、先発投手陣がどれだけ力を発揮できるかでシーズンは変わるため、一軍経験のない中村祐太、藤井皓哉、高橋樹也を含めてどれだけ若手投手を対外試合に抜擢するかに注目したい。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

宜野湾キャンプ参加選手と宜野湾の天気を予想する。

f:id:baymeshi:20170122064708p:plain

こんな海の側にあるのか宜野湾球場。

 

春季キャンプまであと8日である。各球団キャンプメンバーが発表されるなど、球春幕開けに向けて動きも慌ただしくなってきた。ベイスターズも明日23日にもキャンプメンバー発表と報じられ、一軍メンバーの予想を考えている人も多いのではないか。というわけで、今回はその流れに便乗して、一軍メンバーの予想をしてみた。

予想の発表の前に、過去の一軍メンバーはどんな感じだったのか調べて見る必要があると思い、2015年、2016年の一軍メンバーを図にしてみた。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

f:id:baymeshi:20170122040031p:plain

f:id:baymeshi:20170122040122p:plain

過去数年を見ても、「投手20名」「合計38名」は変わらないようだった。また、新人選手が抜擢されるかどうかは各年ばらつきがあるものの、基本的には移籍選手、助っ人外国人選手は全員一軍キャンプ入りを果たしているようである。新戦力を直接見極めたいと考えるのはラミレス監督になっても変わらなかったので球団方針なのだろう。

headlines.yahoo.co.jp

今年はラミレス監督が「大卒・社会人の新人選手は全員一軍スタート」と明言しているので、濱口遥大、水野滉也、尾仲祐哉 、進藤拓也、狩野行寿、佐野恵太は確定。新戦力の平良拳太郎、パットン、ウィーランド、クレイン、シリアコも一軍濃厚と見ていいだろう。田中浩康も新戦力なのだが、後藤武敏に次ぐ野手で2番目に高い年齢を考慮すると2軍調整の方がいいかもしれない。

f:id:baymeshi:20170122042452p:plain

あとは主力選手、期待の若手選手を入れていくとあっという間に予想一軍メンバー38名の名前が埋まった。一軍経験のない選手で言えば、飯塚悟史、網谷圭将、青柳昴樹の3名を入れた。いずれも秋季キャンプ、台湾ウィンターリーグで名を挙げた選手であり、首脳陣の期待も大きい選手である。網谷は去年一時期だけ1軍キャンプに抜擢されたが、他の2人も初の1軍キャンプ抜擢となれば相当プレッシャーもあるはずだ。開幕一軍に向けてはまだ課題も多いが、まずは2月12日の紅白戦でのアピールに期待したい。

投手は自主トレ中にアクシデントが無ければおおよそこんな感じのメンバーだろう。ベテランの域に入る藤岡好明小杉陽太に代わって国吉佑樹福地元春平田真吾が入る可能性はあるが、主力リリーバーということで一軍メンバーに入れた。

一方迷ったのが野手の方である。怪我で万全ではない石川雄洋を外すのは仕方ないとして、宮崎敏郎飛雄馬白根尚貴あたりは一軍メンバーにいれるべきか相当迷った。特に宮崎は主力といってもいい立場だけにコンディションに問題なければ一軍入りはまず間違いないだろう。しかし、秋季キャンプの体調不良による離脱や、ルーキー佐野や狩野が抜擢されるのを見るに最初は2軍キャンプ地の嘉手納からスタートし、紅白戦や実戦の始まる第三クール(11日~15日)から一軍合流ということも考えられそうだ。

f:id:baymeshi:20170122050155p:plain

キャンプの練習は基本的に4つの班に分けて行われる。投手は年齢、役割ごとに4~6人の班で構成され、野手はポジション別に4~5人の班で構成される。梶谷隆幸、筒香嘉智ら打線の主軸を担う2人は、ロペスら外国人組と班が一緒になることが多いようだ。練習メニューによっては班のメンバーは変わるため、秋季キャンプ以降はほとんど一・三塁手としてノックを受けている網谷は、重盗対策などの捕手専用の練習メニューには参加せず内野手として投内連携やノック練習に参加するかもしれない。

f:id:baymeshi:20170122055857p:plain

今年も実戦機会の多いキャンプになりそうだ。22日の段階でキャンプ中に行われる対外試合の日程が発表されているのはセ・リーグでは巨人、中日、ヤクルトだけだ。巨人は練習試合が3試合、中日、ヤクルトは5試合で、去年の記憶から行くと広島、阪神も3~5試合程度だったので、対外試合数だけで言えばベイスターズの練習試合9試合はダントツで多い。これだけ試合数が多いと、若手選手のアピール機会は増える一方で、第三クール以降は基礎練習にかける時間が足りなくなる可能性もある。とはいえ、今年はWBC本戦が控えていることから、韓国代表との練習試合が組めた事は若手選手にとっていい経験になるのではないか。もしかしたらヤン・ヒョンジュンが出てくるかもしれないし。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

www.tenki.jp

ちなみに2月の沖縄の天気は平年並か、平年より曇りや雨の日が多いようだ。気温も平年並みかやや寒いとの予測がされているので、練習試合も何試合か雨で中止になる可能性もあるかもしれない。

www.accuweather.com

沖縄キャンプへ向かう予定の人はこちらのサイトも参考にするといいかもしれません。

でも、沖縄の天気はアテにならないって沖縄出身の知り合いは言ってました。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

【読売ジャイアンツ編】オレが戸柱なら、ギャレットはこうやって抑えるね。

三つ星や五つ星には縁のない深夜食堂。常連客の小道(宇野祥平)が、本当においしいものを食べさせようと、マスター(小林薫)のところに料理評論家の戸山(岩松了)を連れて来てしまう。グルメの知識をひけらかす戸山のせいで、店は嫌なムードに。

そこにやって来たのが、今や絶滅寸前の流しの歌手・ゴロー(あがた森魚)。週一回やって来る彼は、いつものバターライスを食べ、『函館の女』を熱唱する。戸山はその時から毎週やってきてバターライスを注文するのだが、今度はゴローの方が来なくなった。

(ドラマ「深夜食堂」・公式サイトより抜粋)

 

f:id:baymeshi:20170120090343j:plain

深夜のブログ更新は空腹との戦いだ。テレビを付けると小林薫が温かいご飯にちょいとバターを乗せてバターライスを作っていた。美味しそうにバターライスを食べるおじさん。もうその光景を見ただけでいたたまれなくなり、とりあえず台所へ向かいバターライスを作ってしまったので昨日のブログ更新はストップしたが、もう春季キャンプまであと10日である。さっさと巨人と広島の戦力分析を行ってしまおう。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

読売ジャイアンツの戦力分析】

今オフはストーブリーグの主役だったジャイアンツ。山口俊森福允彦陽岱鋼のFA移籍に加え、吉川光夫石川慎吾柿澤貴裕がトレードで加わり、4番候補マギー、クローザー候補カミネロと新外国人助っ人の補強にも力を注いだ。彼らの補強により、おそらく投打とも様々な指標が改善されると見込まれる。例えば山口の加入で先発投手陣のQS達成試合数は増加する可能性が高く、昨年のイニング別における失点で、6,7回の失点が一番が多かったことを考えると森福の加入は非常に大きな意味をもたらす。マギーの加入は膝に故障を抱える村田修一阿部慎之助の負担軽減という効果にも期待でき、一番打者が固定できなかったことを思えば陽岱鋼を一番で使えるという選択肢が出来たことで、得点力アップに繋がるだろう。という風に、新戦力が額面通りに機能すれば優勝候補筆頭のチームであることは間違いない。しかし、昨年のホークスもほとんどの野球解説者が口を揃えて優勝間違いないと評していたが、結局最後は優勝を逃している。高橋監督のマネジメント次第では、「これだけ補強したのに」優勝を逃す、といったことも十分考えられるだろう。

昨年はベイスターズ相手に10勝14敗1分と負け越した。特に投手陣の成績が悪く、チーム別防御率セ・リーグワーストの4.21と打ち込まれた。打者別に見ると筒香嘉智には打率.319・本塁打7本、ロペスには打率.330・本塁打8本、梶谷隆幸には打率.353・本塁打4本と主軸打者に滅多打ちされている。クライマックスシリーズの直接対決でもこの3人がホームランを打って試合を決めていることもあって、今年は広島だけでなくDeNAも重点的に対策を練ってくることだろう。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【投手陣】

f:id:baymeshi:20170120045431p:plain

これだけの先発候補がいると、ローテーションの組み方も少し変わる。相手チームの相性に合わせて先発投手を変えてくることも可能だろう。例えば、大竹寛ベイスターズカープ相手には結果を残していないが、タイガース相手になると防御率2.25、被打率.209と抜群の結果を残している。高木勇人も昨年は5勝9敗の防御率4.31とシーズン通しての活躍は出来なかったが、カープ戦では防御率2.08と安定していた。調子や相性を見ながら先発→登録抹消→中10日で先発と柔軟な起用が出来るのは強みである。

さきほど触れたように昨年の巨人は6,7回の失点が一番多かった。西村健太朗の故障、山口鉄也の不調もあり、ミドルセットアッパーが上手く機能しなかったことが原因だが、森福允彦が加わり、西村健太朗も故障から復帰したことで、今年は少なからず改善されるはずである。また、宮國椋丞戸根千明田原誠次といった選手も力のある投手だけに、巨人戦では早い段階で得点しないと、どんどん好投手を送り込まれる展開になるだろう。

新戦力でいえば、カミネロがMAX164キロの触れ込みで澤村拓一との守護神争いに加わる。 ストレートがとにかく速く、平均球速159キロは昨年のメジャーリーグ第三位であり、カットボール、スプリットも150キロ以上計測することもある投手である。球威はメジャー屈指のレベルだが、制球面で課題があり、メジャー時代の四死球率は5点台近い。身長193センチ、体重111キロと体格も大柄であり、日本で登板してもストレートの球威を考えたら被打率は悪く無さそうだが、四球がきっかけで崩れる可能性があると守護神としては起用しづらいのではないかと思う。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【野手】

f:id:baymeshi:20170120060204p:plain

捕手はなんだかんだで小林誠司で固定されそうだ。リード面、捕球面で酷評されることの多い小林だが、昨年スタメンで出場した129試合の結果は44勝45敗・防御率3.22・勝率.341とまずまずの結果は残している。ちなみにカープ石原慶幸はスタメン83試合で44勝19敗・防御率2.65・勝率.530なのだから、投手陣に差があるにしても、捕手がいかに大事かよく分かるデータである。

新加入のマギーに関しては、楽天時代と印象は大きく異なるようである。怪我の影響で、楽天時代のような長打力は無くなり、4番候補というよりは下位打線にいると怖いタイプのようである。それでも、日本の配球を熟知しており、出塁率も高いことを考えると十分怖い打者になるだろう。

実は昨年、セ・リーグで一番犠打の数が多かったのは巨人だった。チームで一番バントしたのは橋本到の20本であり、村田修一坂本勇人もバントを記録するなど、チーム全体でバントに取り組んでいたようである。盗塁の数はリーグ4位(62個)であり、併殺打の数はリーグ3位(100本)だったことを考えると、昨年の巨人は足を使った攻撃を積極的にしない傾向があった。それは陽岱鋼が加入した2017年もおそらく変わらないだろう。

陽といえば、2013年の盗塁王であり走塁技術も一流、積極的な打撃も魅力の選手である。そのため、バントを多用しない攻撃的なスタイルに方向転換する可能性もあるが、昨年の陽の盗塁数は5個にとどまっており、盗塁成功率は45.5%と盗塁数、盗塁成功率とも過去5年間で最も悪い成績だった。一方犠打の数は7個で、犠打の数が多いファイターズの中では飛び抜けた数ではないが、過去に38個の犠打を記録し、昨年も犠打成功率100%と実はバントの技術も高いことがわかる。こういった特徴から、陽を切り込み体調の1番ではなく、つなぎの2番打者として起用してくることもありえるのではないか。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

しかし、ベイスターズが一番警戒すべきは何と言ってもギャレットだろう。

www.youtube.com

打率.258の選手がベイスターズ戦では打率.358・本塁打10本と打ちまくり、ハマスタになるとさらに強烈で、打率.467、得点圏打率.462と手がつけられない状態だった。本塁打も全てハマスタだったので、強烈なインパクトを残したギャレットだったが、東京ドームで行われたクライマックスシリーズでは11打数0安打5三振と全くの別人になっていた。試合前にしっかり対策を練った戸柱と光山コーチ、スコアラーの勝利だったが、実際にシーズンとCSでどう配球を変えたのか検証してみた。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【ギャレットの安打マップ】

©Baseball LAB (http://www.baseball-lab.jp/)

(対左)f:id:baymeshi:20170120073544p:plain(対右)f:id:baymeshi:20170120073618p:plain

安打マップとは?

投球コース・高さのデータから対象の打者が安打を放ったゾーンを抽出し、グラフィックで表現した。赤は多く安打を打っているゾーン、青はあまり打っていないゾーンを表している。

来日する際、ギャレットの一番の特徴は確かハイボールヒッター」だった。実際、ギャレットが一番得意としていたのが左右関わらず「真ん中やや高め」であり、ハマスタで打たれた10本のほとんどが失投が高めに浮いてしまうケースだった。コース別打率で見ると、ギャレットは内角低めが一番苦手なコースなため、インコースに厳しく攻めようと思ったボールが真ん中に入り打たれるケースが多かったのではないかと推測する。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【ギャレットの球種別安打割合】

©データで楽しむプロ野球http://baseballdata.jp/

f:id:baymeshi:20170120074524p:plain

ギャレットの得意な球種はストレートやシュートであり、逆に苦手な球種はカーブ、チェンジアップといったブレーキング系の球種だった。確かにクライマックスシリーズでは今永や石田のチェンジアップやカーブといった球種に翻弄されていた記憶がある。ストレートに強く、ブレーキングボールに弱いというデータがはっきり残っているのが特徴だろう。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【ギャレットのカウント別打率】

ギャレットは選球眼に関して平均的な打者のようである。出塁率から打率を減算した数値で、「四死球によってどの程度出塁したか」を測るための指標であるIsoD(数値が0.07から0.08あれば比較的優秀とされる)は0.069をマークしている。特徴としてボール先行の打者有利のカウントでは4割以上の打率を叩き出す傾向が強く、一番打率が低いカウントは「2ストライクノーボール」で35打数2安打・打率は.057と一気に落ちる。この結果は至極当たり前ではあるが、ギャレットの場合は「フルカウント」でも打率.267・本塁打5本と打っており、「2ストライク1ボール」のカウントも打率こそ.135だが、本塁打4本と狙い球をしっかり打っている。また、「初球打ち」にも強く、打率は.382と当たっている。ボール先行になると打率が急上昇するので、早いカウントで追い込むことがギャレット攻略に繋がりそうである。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【ギャレット攻略法・結論】

以上のことをまとめると

・ストレート系の球種に強く、カーブ、チェンジアップなどのブレーキング系の球種に弱い。

・コース別では内角低めが一番弱く、真ん中高めに入ると打たれる可能性が高い。

・ボール先行になると高確率でヒットされる。

ストライク先行では凡打になる可能性が高い。ただし、甘く入ると長打を打たれることもある。

初球の入り方が極めて重要である。また、フルカウントでも結果を残している。

・対左投手の打率は.228である。

 

自分がもしキャッチャーなら、カーブ系の球種で投手有利のカウントを作り、ストレート系の球種で凡打を誘う配球を考える。ポイントは球速差であり、今永、石田以外にも砂田毅樹田中健二朗濱口遥大と球速差で勝負できる投手は揃っているため、今年は昨年のような結果には終わらないのではないか。ギャレット対策にも注目である。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村

【阪神タイガース編】江本孟紀の順位予想は当たるのか。大きく変貌しそうな阪神打線について。

結局ね、セもパも大混戦になると思いますよ。

一応、つけろというから順位予想をしてみましたが、

当たる気がしませんわ。

f:id:baymeshi:20170116004753p:plain

「憎まれっ子世にはばかる」という諺がある。人から憎まれるような者ほど、逆に世間では幅をきかせるものであるという意味であり、アメリカのトランプ次期大統領のニュースが連日報道されると、妙に納得する諺である。ちなみに英語圏でも“The devil’s children have the devil’s luck.“(悪魔の子供たちは悪魔の運を持っている)という格言があり、憎まれ者に対する認識は世界共通のようである。プロ野球界にも「憎まれ者」は当然存在する。この諺をGoogleで調べると、予測変換でナベツネと出て来るのは笑ったが、野球解説者で「憎まれ者」といえば、おそらく12球団のファン共通でこの人だろう。

エモやんこと江本孟紀である。

基本的に当たり障りのないコメントを残す野球解説者が多い中、江本孟紀氏だけは常に辛口、時には舌禍事件に発展しかねない過激な発言が多いため他の野球解説者とは一線を画している。とはいえ、引退後プロ野球の指導者を経験したことは無く、順位予想も本当に野球見てるのかと思えるような発言(メディア向けだと思うけど)もあるため、「お前が言うな」という意見をよく耳にする人である。そんな江本孟紀氏の今季の順位予想が発表されたので、過去の順位予想と、的中率を調べてみました。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

f:id:baymeshi:20170115210121p:plain

f:id:baymeshi:20170115211038p:plain

2年続けて順位予想を5位にしたチームが優勝しているだけに、今年はヤクルトか!?と思わせるほど、順位予想は当たっていない。戦力分析をしっかり踏まえて予想している他の解説者も含めて的中率は一緒ぐらいだと思うが、野球の順位予想がいかに難しいかよくわかる結果になった。ちなみに、今年の順位予想に関しては全く自信が無いようである。なんでベイスターズが4位なんだよ!と思った人は記事を見てみると良い。きっと後悔するから。

news.livedoor.com

小ネタはこのあたりにしておいて本題に入る。今回は阪神タイガースの分析である。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

阪神タイガースの分析】

近年、世代交代の遅れを指摘され続けてきたタイガースだが、昨年は金本監督の元、ほとんどの選手に一軍を経験させるなど、若手積極起用に大きく舵をきったシーズンだった。投手では岩貞祐太、野手では原口文仁北條史也中谷将大といった若手選手が台頭し、新人王を獲得した高山俊、後半戦からローテに定着した青柳晃洋などドラフトでも結果を出した。今年は糸井嘉男をFAで獲得し、ゴメスに代わる主砲としてキャンベル、セットアッパー候補としてメンデスとテスト入団で加入した柳瀬明宏を補強。ドラフトでは少し物議を醸した大学日本代表の4番大山悠輔小野泰己など8名を指名した。

昨年はベイスターズ相手に15勝9敗1分と相性の良さを見せつけた。特に投手陣はチーム別防御率で2.54とセ・リーグで一番結果を残しており、岩貞祐太は4勝1敗の防御率1.64、メッセンジャーは3勝1敗の防御率1.95、藤浪晋太郎は2勝0敗の防御率1.77と主力3投手だけで貯金7も作られたのが大きかった。当然、今季は阪神対策が重点的に行われているはずなので、ラミレス監督がどういった対策で阪神戦に臨むのかも注目である。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【投手陣】

f:id:baymeshi:20170115212901p:plain

阪神はここ数年、藤浪晋太郎メッセンジャー能見篤史岩田稔の4人がローテーションの軸であり、彼らの好不調や怪我がダイレクトにシーズンに影響していた。岩貞、青柳の台頭やメッセンジャーのフル回転もあったが、藤浪、能見、岩田は求められていた結果を残したとは言えず、開幕前は優勝候補に挙げられていたチームは結果としてBクラスに沈んだ。投手陣の成績を見てみると、チーム防御率セ・リーグ2位の3.38と奮闘し、被打率(.239)、被長打率(.346)、奪三振率(8.23)といった数字はセ・リーグ1位だった。一方、四球率(3.52)はセ・リーグワースト、QS達成試合の勝率はセ・リーグ4位(.619)と課題もあった。岩貞、藤浪が四球率3点台ということもあり主力先発投手は元々制球力で勝負するタイプが揃っているわけではないのだが、11勝を挙げた2015年は四球率2.14だった能見が3.18まで悪化したり、2年目の青柳が被打率.175と抜群の数字を残している一方で四球率は5.27と制球面に大きな課題を抱えている投手が多い印象がある。ベイスターズも四球率は2015年ワースト(3.29)だったが、昨年はセ・リーグ3位(2.96)と改善が見られた。キャンプから徹底した内角攻めが功を奏した形だったが、戸柱恭孝で捕手を固定したことも大きかったはずである。阪神も正捕手固定出来ていないチームだが、正捕手固定とキャンプから徹底して制球面改善を図ることで、チーム防御率をリーグ屈指の水準まで持っていくことは可能ではないかと思う。

m.mlb.com

リリーフ陣の強化ではセットアッパー候補としてメンデス投手を獲得。荒削りという印象で、例えば「阪神1点リードの8回」に登板させるか、というと不安が大きいように思える。まずはビハインドの展開から投げさせることになりそうだ。絶対的とはいえない高橋聡文安藤優也に続くセットアッパー候補は、中継ぎに転向予定の岩崎優、故障歴が多いが実力は折り紙つきの松田遼馬歳内宏明藤川球児の復活が挙げられるが、台湾ウィンターリーグウエスタン・リーグのクローザーを努めた石崎剛のブレイクも注目しておきたい。

f:id:baymeshi:20170115232142p:plain

©データで楽しむプロ野球http://baseballdata.jp/

ウィンターリーグでは12試合に登板し、20奪三振自責点0と完璧な投球を披露している。見ての通り投球の9割がストレートの投手だが、2016年の被打率は.194とほとんど打たれていない。級質は藤川のようなスピンの利いたボールではなく、空振り率も5.37%と決して高くはない。ウィンターリーグでも投球比率はこんな感じだったが、140キロ台前半でも右打者がファールを打つのが精一杯というぐらい球威があるため、2017年のタイガース投手陣のブレイク候補として覚えておきたい。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【野手陣】

f:id:baymeshi:20170115213013p:plain

m.mlb.com

ゴメスの退団により2017年の打線は長距離砲不在の打線になりそうである。ゴメスに代わる主砲候補としてキャンベルを獲得したが、長打力が魅力の選手ではなく、イメージとしては2005年頃に在籍していたアンディ・シーツに近い打者に思える。メジャー時代はとにかく出塁率の高い選手であり、鳥谷敬糸井嘉男出塁率が高い打者が打線で並ばれると投手としては厄介だろうが、ランナーを返す打者の成績次第では残塁地獄になる可能性もあるので、彼らの後を打つであろう福留孝介原口文仁の成績は重要である。

 外野手は糸井嘉男の加入が大きな影響を与えそうである。昨年、スタメンでセンターを経験した選手は10名。一番多くセンターのスタメンを勝ち取った江越大賀ですら31試合にとどまるなど、若手選手を積極的に起用するもセンターを固定できなかった一年だった。レフト・高山、ライト・福留はおそらく固定なので、糸井の加入で一気に外野の選手層は厚くなった。また、2016年リーグワーストだった盗塁数(59)も糸井加入で大幅に増えそうである。昨年のオリックス全体の盗塁数は104だったが、糸井はそのうちの53盗塁を決めており、成功率も75.7%と安定している。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【キャンプの注目ポイント】

以上を踏まえると、ゴメスの退団、キャンベル・糸井の加入によって阪神打線は大きく変貌する可能性がある。打線の厚みが増す、というわけではないが、出塁率の高い糸井、鳥谷、キャンベルが打線の中心になることで出塁率はおそらく向上するだろう。加えて糸井の加入で盗塁数の増大も見込めるため、昨年には無かった攻撃パターンで得点できるようになるのではないか。ゴメスの1発や福留、高山のタイムリー頼りだった打線ではなく、盗塁、四球、進塁打を絡めた打線が完成すると非常に厄介なチームになる。とはいえ、糸井やキャンベルが期待通りの活躍をするかが大きなポイントであり、彼らが機能しなければゴメス退団がダイレクトに影響を及ぼす。キャンプのポイントとしては、チームの走塁意識、出塁意識、進塁打の精度向上にどれだけ力を入れているかであり、オープン戦の成績を見れば打線の方向性もある程度見えてくると思われる。また、正捕手固定もキャンプのテーマであり、原口文仁梅野隆太郎坂本誠志郎岡崎太一の中から誰を選ぶのかにも注目したい。

にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ
にほんブログ村