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時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

【キャンプ注目選手】笠井崇正の分析とプロ1年目を予想する。

自分の子どもが同じ道を歩もうとしていたら、果たして応援出来るだろうか。一般入試で入った早稲田大学硬式野球部を「自分の思うような野球が出来ない」という理由でわずか2日で退部。高校野球で140キロ中盤を計測し、プロスカウトに素質を注目された右腕は、19歳でプロ野球を一度諦めた。もともと公務員志望だったそうである。進学校の旭川西高校から早稲田大学となれば、難しい公務員試験も、倍率の高い面接も、きっとパスしていただろう。今頃旭川市役所で勤務していた可能性もあったかもしれない。

しかし、自分の可能性を信じ、プロ野球への挑戦を貫き通した事で人生が全然違うものになった。彼は今、横浜DeNAベイスターズのユニフォームを着てマウンドで躍動し、多くのファン、首脳陣に「大きな衝撃」を与えている。一番びっくりしているのは本人かもしれないが、彼と一緒にプレーした早稲田大学硬式野球サークルの仲間やBCリーグ信濃グランセローズの選手はこれぐらいやってくれるだろうと思っているかもしれない。そして、一番活躍を喜んでいるのは家族だろう。彼が今、プロのマウンドに立っているのは家族のサポート無くしては間違いなく実現していなかった。ウチの親父なら「公務員試験受けろ」の一言で終了である。キャンプ中盤の紅白戦と練習試合の2試合に好投しただけで評価するのはまだ尚早かもしれない。それでも、これからたくさんの人々に「ビックインパクト」を与えてくれそうな育成選手・笠井崇正を分析した。

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笠井崇正 1994年8月7日(22歳)

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【人 物】

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北海道旭川市出身

道北の中心都市であり、北海道では札幌に次ぐ2番目の人口規模を持つ都市である。レルヒさんもかつてスキー振興で訪れた町であり、旭川駅前の近くにあるラーメン屋が有名な町であり、スタルヒンが生まれ育った町でもある。現役のプロ野球選手ではソフトバンク明石健志が同じ旭川市出身で、とにかく明るい安村もこの町で生まれ育った。

旭川西高校は旭川でも有数の進学校で、普通科の偏差値は60。元々勉強が出来て運動も出来るタイプだったのだろう。ちなみに旭川西高校はTEAM NACSのリーダー・森崎博之音尾琢真の母校であり、学年の2つ上には元乃木坂46橋本奈々未も授業を受けていた。さすがに繋がりはないだろうが。

高校時代から野球センスは頭一つ抜けており、公立の進学校ながら143キロのストレートを武器に道内支部予選を勝ち抜き全道大会出場を果たす。プロスカウトもこの時点から注目していたが、プロ志望届を提出出来るほど結果を残すことは出来ず、早稲田大学に一般入試を経て進学する。

前述の通り、早稲田大学硬式野球部はわずか2日で退団。日ハムに指名された石井一成や、阪高・竹内諒木更津総合高・黄本創星らスポーツ推薦組と一般入試組では、扱いも大きく異なるはず。「思うような野球が出来ない」と思った笠井は名門硬式野球部ではなく、硬式野球サークルでのびのびとプレーしたり少年野球のコーチのバイトをしながら野球生活を送る道を選択する。高校まで野球に打ち込み、一般入試で大学進学した人は、わりと同じような経験している人が多い気がする。普通はここでプロ野球への道は閉ざされるものだが、スポーツ科学部の研究の一環で自分の投球フォームを解析し、地道にトレーニングを重ねていった結果、試合で141キロを計測するようになった。野球同好会の試合で140キロ出たらびっくりするのは当然である。これがきっかけで、よりトレーニングと投球動作解析に打ち込むようになり、諦めかけていたプロ野球への道が再び見えてくるようになった。

大学3年生の秋、笠井はBCリーグの合同トライアウトを受験する。トライアウトで投げたストレートは146キロを計測。この時も打者4人に対して無安打2奪三振と完璧な投球だった。今のベイスターズファンのように、BCリーグのスカウト達に「ビッグインパクト」を与えていたのは想像に難くない。一方、笠井がトライアウトを受けていた少し前の夏、ドラフト1位濱口遥大は大学日本代表に選出され、国際大会を戦っていた。濱口が2016年のドラフト目玉投手として注目を浴びていたのと対象的に、笠井もBCリーグ信濃グランセローズの選手として静かにプロ野球への道を目指すことになる。

【分 析】

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www.youtube.com

信濃グランセローズでは主にセットアッパーとして35試合に登板。WHIP0.97が示すように主力投手として活躍した。トライアウトで計測した146キロのストレートは最速151キロまで球速が伸びた。今キャンプでもすでに147キロを計測を計測しており、まだまだ球速が伸びる余地はありそうだ。投球スタイルはハンファとの練習試合を見る限り球質の重いストレートを軸にして、縦軌道のスライダーとスプリットで空振りを誘う感じだろうか。スライダーは変化量が大きく、右打者は軌道をイメージできないとミスショットや空振りを充分狙えそうだ。また、動画ではほとんど使っていないが緩いカーブも球種として持っているようである。

印象としてはストレートを軸にした速球派の投手だが、昨年の与四死球率は2.19とコントロールには安定感がありそうだ。制球難に苦しむパワーピッチャーが多い中、カウントがボール先行になってもストライクゾーンに集める投球が出来るのは笠井の強みだろう。被本塁打率0.49はNPBではかなりいい数字だが、BCリーグ平均が0.51なのでプロではいかにゴロを打たせられるかが鍵になりそうである。

【プロ1年目の予想】

現在のベイスターズの支配下登録選手は67名。猛アピールを続ける網谷圭将は怪我がない限り今シーズンで支配下登録を勝ち取れるだろう。となると、開いている枠は2枠。あとは新外国人の活躍が重要なポイントになってくる。新外国人達が期待はずれに終わった場合、ここ数年オールスター前頃に緊急補強を行ってきている。特に今年は先発候補のクライン、ウィーランドや抑え候補のパットンなど、重要なポジションの補強を新外国人に託しているため、彼らが期待はずれだった場合、チームに大きな影響を及ぼす。成績を残せなければすぐに渡米して緊急補強策を練ってくるはずである。

一方、笠井の現時点での起用法は「右の中継ぎ投手」。正直言って「ある程度替えがきく」ポジションだけに、2軍戦で安定した結果を残せないと貴重な支配下登録枠を獲得するのは難しいだろう。

NPBでスカウト経験もある信濃の三沢今朝治会長は、笠井の強みを三つ挙げる。


「一つは、身体能力。たった半年のトレーニングで150キロを超える投手は滅多にいない。
二つめは、これだけの球を投げながら、まだ成長途上にあること。
三つめは、自分で考えたことを実際に行動に移し、結果を出せること。だから笠井はこれからも伸びますよ」

 

 引用:VOL.7 笠井 崇正 (信濃グランセローズ)投手#20 - BCリーグ

とはいえ、今シーズンで支配下登録枠を獲得する可能性が無いわけではない。信濃の三沢会長が笠井に対して「まだまだ伸びしろがある」と評するように、ストレートのMAXが151キロで留まることはおそらくないだろう。目標とするソフトバンク五十嵐亮太のようにコンスタントに150キロ以上の球速を出せるようになれば、ベイスターズ投手陣の中でも屈指の速球派として君臨できる。短期間で球速アップを求めるあまり、投球フォームを崩すようなことはあってはならないが、どういうトレーニングをしたらフォームを崩さずに効率よく球威を向上できるか、という課題を一番熟知しているのは笠井本人だろう。今の状態を維持するのは困難だと思うし、どこかで課題も出てくるだろうが、じっくりトレーニングして試合経験を重ねていけばおそらく凄い投手になる。開幕一軍を勝ち取り躍動する姿も見たいが、2軍で地道にトレーニングを重ねてさらなる「ビッグインパクト」を与える投手になってほしい。個人的にはそうなることを期待している。