時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

尾仲祐哉の分析と今後の起用法を考える。

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前回ブログを更新したのが3月3日なので、中7日空けての更新となる。先発投手ならローテーション通りである。しかし、更新をしばらく止めると閲覧者数が一気に減るというのがブログの恐ろしい所であった。更新していない間、筒香嘉智侍ジャパンの4番に座り、連日大活躍を見せていたのはご承知の通りである。ベイスターズオープン戦好調で、調整不足が心配されていた今永昇太オリックス戦で好投し、ルーキー佐野恵太も筒香不在を感じさせない活躍を見せている。ブログで取り上げたい話はいくらでもあった。何なら週末に観た「ラ・ラ・ランド」について、文字数の限界まで語りたいところである。でもあえて今回は、オープン戦で結果を残せなかった新人投手を取り上げたかった。ドラフト6位ルーキー・尾仲祐哉である。

キャンプでは小柄ながらキレのあるストレートが目を引き、キャンプ中盤ではすでに147キロをマーク。ロッテとの練習試合ではストレートとスライダーのコンビネーションが冴えて2回を投げて無失点。ラミレス監督も試合後「期待通りの活躍だった」と好投を評価するコメントを残し、首脳陣の評価はうなぎ登りだった。そして、満を持して先発マウンドに上った3月8日のオリックス戦。打者22人に対し92球を投げ、4回4失点という結果だった。被安打6、与四球4の内容以上に、マウンド上でもがき苦しむ姿が印象に残った。試合後、ラミレス監督は「先発投手として力がある」と前向きなコメントを残したが、好投を期待していたファンも、本人も、決して納得のいくマウンドでは無かっただろう。今後は2軍からチャンスを伺う事になりそうだが、きっと一軍マウンドで躍動する姿を何度も見ることになるであろう尾仲祐哉を分析した。

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尾仲祐哉 1995年1月31日(22歳)背番号29

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【人 物】

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福岡県北九州市出身

今永昇太と同じ街で生まれ、中学時代は共に軟式野球に打ち込んでいた。1学年離れているとはいえ、尾仲がいた則松中学校と今永がいた永犬丸中学校は隣の中学校なので、対戦した機会は何度かあったかもしれない。ちなみに阪神にドラフト2位指名された小野泰巳北九州市出身で、今永のことは幼い頃から知っていたそうである。小野も開幕一軍を狙える位置にいるだけに、同級生の同郷出身者には負けたくないところだ。その後、高稜高校に進学。悪役レスラー・デビル雅美の母校である。尾仲は2年生まで遊撃手のレギュラーだったが、投手に転向すると3年時にはエースの座を掴んだ。しかし、高校3年間で投手として実力を発揮することは出来なかった。最後の大会になる3年夏の県大会でも、尾仲擁する高稜高校は1回戦で姿を消している。濱口遥大にしても、笠井崇正にしても、高校時代は野球名門校では無かったので甲子園出場は叶わなかったが、2人共高校生の時点で球速は140キロを越しており、実力はプロスカウトも注目していた。しかし、尾仲に関しては球速は最速でも130キロ前半。おまけに夏の県大会は3年間全て1回戦敗退だった。それでも「高いレベルの野球を体験したい」という気持ちで大学のセレクションを受け、広島六大学リーグの強豪・広島経済大学へと進学が決まった。

ソフトバンク柳田悠岐を輩出した広島の強豪大学に入学するも、選手のレベルの高さに「ずっと球拾いをするだろう」と試合出場を叶えることすら半ば諦めていたようである。しかし、地道に動画で投球フォームを解析し、筋力トレーニングに励んだ努力が実を結び、1年秋リーグから先発投手としてマウンドに上がるようになる。このあたりは笠井と同じようなサクセスストーリーだが、尾仲は1年生の段階で50回を投げ、防御率0.89とエース級の活躍を見せた。球速も3年時には150キロに到達。4年春の全日本大学野球選手権では8回を投げて14奪三振と圧巻の投球を見せた。結局タイブレークの末に敗れることになったが、各球団のスカウトに尾仲祐哉の名を刻んだ事は間違いなかった。高校卒業時点ではMAX133キロだった投手が、MAX150キロのストレートとキレのあるスライダーを武器に奪三振ショーを繰り広げる事になるとは、おそらく本人も想像していなかっただろう。本格的に投手に転向したのが高校2年と遅いこともあり、まだまだ成長する可能性は秘めている。今後も楽しみな投手と言えるだろう。

【分 析】

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大学一年生の時から主力投手として活躍し、広島六大学リーグでは常に最高の成績を残していた。毎年投球回数以上の奪三振を記録し、2016年の奪三振率は12.60と圧倒的な成績を残している。与四死球率も毎年2点台を記録し、制球力も安定していたが、やはり大学とプロでは打者のレベルが違うため、ここまでの登板の印象ではやや荒れ球が目立っている。特に、外角からボールゾーンに逃げるスライダーは大学時代は空振りを狙える決め球だったが、オリックス戦ではことごとく見逃されていた。変化量が大きい分対応もしやすいといったところか。

投球スタイルとしては先発時は平均140キロ中盤~後半まで計測するストレートを軸に好調時はプロでも空振りが取れるほどキレがある縦スライダー、カットボール、フォーク、チェンジアップといった球種で打者を強引に抑える投球である。練習試合ロッテ戦やオリックス戦でもたびたび内角を強気に攻める投球が印象的だった。ストレートは綺麗な軌道をしており、手元でビュッと伸びる感じというか、ストレート系に強い打者でもゾーンに決まれば差し込まれるだけの威力はある。インステップ気味で腕の振りの速さが特徴的なフォームだが、対戦打者からするとタイミングが合わせやすそうな印象がある。自分が打者なら手元で伸びてくるストレートではなく時折甘いコースに入ってくるスライダーなどの球種に狙いをつけて打つだろうが、尾仲の場合チェンジアップという球速差を出せる球種も持ち合わせている。中継ぎ投手として起用するなら大学時代と同じようにストレート、スライダーといった球種を軸にしていけば打者を抑える力量は充分あると思うが、先発投手として起用するならチェンジアップやカーブといった球種を磨いたり、カットボールツーシームといった球種でもストライクを狙えるようになることが必要になっていきそうだ。

【今後の起用法】

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3月8日の神戸は雪もちらつく極寒の一日だった。最高気温は9.1℃。日中でもダウンジャケットを着ていないと凍える球場でのプロ初先発のマウンドだっただけに、結果を残せなかったのは仕方ないと言えば仕方なかった。尾仲の場合、腕の振りの速さも投球に関わる重要な要素だが、この日はストレートの球速も140キロ前半だった。これだけ寒いと、指の感覚も握力も本調子では無いだろうから、オリックス戦の投球だけで評価するのは少し尚早かもしれない。とはいえ、本人にとってもプロで活躍するには課題がいくつか見つかった登板にはなったのではないか。

ちなみに身長173センチと小柄な投手だが、プロで尾仲と同じぐらいの身長で右の先発投手となると、楽天美馬学(169センチ)、ヤクルト・小川泰弘(171センチ)オリックスのルーキー山岡泰輔(172センチ)ぐらいしかいない。小川はダイナミックな投球フォームで身長を感じさせない投球スタイルだが、尾仲や山岡が先発投手として活躍するには、前例を覆すだけの努力が必要になってくるかもしれない。右の中継ぎ投手で言えば、日ハム・谷元圭介(167センチ)、武田久(170センチ)、楽天・福山博之(172センチ)あたりが尾仲の身長に近いが、いずれも強気の投球スタイルがウリの投手で、尾仲の現状の投球スタイルとも合っている。そのため、尾仲の場合、中継ぎ投手として活躍するほうがイメージしやすいのかもしれない。ベイスターズの先発事情を考えると、右の速球派タイプである尾仲が先発として活躍すると戦力として大きいが、プロ1年目から活躍を狙うとなると中継ぎ投手として起用するほうが可能性は大きい気がする。このあたりは首脳陣も見極めが重要になってくるので、次回2軍戦での先発登板は尾仲の将来を決める大きなターニングポイントになっていきそうである。

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