時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

倉本の不調とどう向き合っていくか。

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その表情は、悔しさだけでは無かった気がする。ヤクルトと開幕カード三戦目は、10回裏、鵜久森淳志の代打満塁サヨナラホームランという劇的な幕切れで勝負を決した。鵜久森が登場する前に、山田哲人か、あるいは白崎浩之佐野恵太がお立ち台に上っていてもおかしくは無い試合だったが、絶体絶命のピンチの場面で最高の投球を見せた両チームの救援陣の働きも大きかった。ベイスターズとしては、開幕カードを負け越してしまい、3試合で10打数1安打、打率.100とほとんど仕事をさせてもらえなかった筒香嘉智の不振がもたらす影響の大きさを感じた三連戦となってしまった。

もう一人、この3試合で苦しみ続ける姿を見せた選手がいた。レギュラーショートの倉本寿彦である。12打席0安打。打率.000。三振3。併殺打1。失策2。2日の試合では、1回裏に正面の打球をファンブルし、濱口遥大がヤクルト打線に掴まるきっかけを生み出し、9回裏の場面では大引啓次の放った三遊間のゴロをさばこうとするも、一塁手ロペスが取れない悪送球をしてしまう。記録には残らないが、坂口智隆のゴロ処理もあやうく内野安打になりそうなワンバウンド送球もあった。昨年のシーズン失策数は6。守備範囲は広くないが、正面に飛んできた打球を確実にアウトにする捕球動作とスローイングの正確さはセ・リーグでも屈指の水準だった守備の名手が、開幕三戦目にして守備を不安視されるようなっている。

打撃に関しても、昨年チーム最多安打を放ったバットからは未だ快音を響かせずにいる。特に気になったのは8回表の第4打席。ヤクルト・石山泰稚の4球目は真ん中に入ったストレートだったが、倉本は手が出なかった。見逃し三振に終わった打席からベンチに帰る際に表情がカメラに映し出されたが、悔しいというよりは諦めに近いような、気持ちが切れたような印象すら受けた。

まだ3試合を消化しただけである。今の時点で好調不調を考察しても仕方が無いのは承知だが、キャンプ、オープン戦、そして開幕三連戦と見続けていて、どうしても倉本の今年の成績を不安視してしまう自分がいる。昨年のような打撃の積極性、守備の確実性という持ち味が発揮出来ない状態を一番理解しているのはおそらく本人だと思うが。もがき苦しむベイスターズショートストップの現状を分析してみた。f:id:baymeshi:20170404001801p:plain

1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.より引用。

実際にセイバーメトリクスの観点から見ると倉本の守備はどう映るのか。UZRなどの守備指標は、守備機会数が多いほど数値は良化するという指標であり、単純比較は出来ないが、3試合消化時点では総合守備評価であるUZRは数値上大きく改善されている。倉本の守備は堅実性に強みがあるため、昨年はErrR(守備の堅実性)がリーグトップの生成だったが、今シーズンは早くも2失策を記録しており、ErrRの数値は大きく悪化している。一方で、昨年から指摘されていた守備範囲に関しては改善され、RngR(守備範囲)0.7は現時点でセ・リーグ最高成績である。ちなみに、昨年この数値の成績が良かった巨人・坂本勇人が-0.2、広島・田中広輔が-1.6となっている。倉本は昨年の契約更改交渉で、守備範囲の狭さを指摘されている。おそらくシーズンオフから守備範囲拡大をテーマに守備練習に取り組んでおり、その成果は数値上出ているようだが、倉本の持ち味である、捕球してからスローイング体勢に入るまでの動作の速さ、そしてスローイングの正確さは昨年よりも悪化している事が、現状の倉本の守備ということになる。シーズンオフの時点でこの指標がどうなるのか気になるが、「守備が下手になった」というよりは「守備の特徴が変わった」と考えた方がいいのかもしれない。本当に守備が下手になったのなら全体的に指標が悪化しているはずなのだから。

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一方打撃面でもスタイルの変更があったのかと思い、昨年と打球方向の比較をしてみたが、こちらも打席数が少なすぎて単純比較は難しかった。とはいえ、倉本の特徴である逆方向にも打球を飛ばしており、長打を求めて引張り(右方向)に集中しているわけではなさそうだ。それでも、ほとんど差はないとはいえ右方向に一番打球が飛んでいることは考慮しておいたほうがいいだろう。そのうちヒットは出るだろうし、一本ヒットが出たら気が楽になり少しずつ調子を取り戻していくだろうが、社会人時代のように右中間を破るような当たりを追い求めていくようなら少し厳しい打撃成績になるかもしれない。

他にも選球眼の変化なども見ていたが、数値上は昨年と大幅に変化は無さそうだ。しかし、オープン戦でも何度か四球で出塁している場面があったが、今年は出塁意識を持って打席に立っているようにも見受けられる。もともとチームでも積極性が高い打者だったが、今年は慎重にボールを見極めることを意識しているのかもしれない。3割近い打率を残した昨年だが、出塁率の低さも指摘されており、守備範囲の狭さだけでなく、出塁率の向上もテーマとして取り組んでいるのでは無いかと勝手に推測した。

こうしてみると、完全に自分の憶測ではあるが、倉本は昨年出来なかったことを意識しすぎて、自分の持ち味を発揮できない状態が続いているのではないかと思った。おそらく真面目な性格の選手だと思う。そして、現状では走攻守全てにおいて自分の思うような状態ではないため、一軍の選手で最も精神的にも辛い状態を送っているのではないか。ネットなどでは、スタメン落ち、2軍落ちも検討すべきという声もあるが、ここの判断は非常に神経を使わないといけない場面だと思う。

山崎憲晴柴田竜拓を起用するのは簡単だが、昨年不動のレギュラーだった倉本のモチベーション低下を考えると迂闊な判断は出来ない。山崎や柴田が活躍して一気にレギュラーになればいいが、そう簡単には進まないだろう。昨年も不振のロペス、山崎康晃を我慢して起用し続けたラミレス監督だけに、まだまだ倉本を我慢して起用し続ける事は間違いないだろう。監督しては本当に起用法に悩む場面である。我慢の起用が実を結ぶ結果になれば一番だが、チームの負けが続くようになってくると采配に対する風当たりも強くなる。自分が監督なら、借金5をデッドラインとして倉本の復調を我慢し続ける起用をすると思うが、シーズン前、倉本を「不動のショートストップ」と言い切ったラミレス監督がどういう起用法をするのか興味深いところである。

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まだシーズンは始まったばかりである。苦しんだ分、壁を乗り越えた時にはもっといい選手なっているかもしれない。エラーした直後に田中浩康がすかさず倉本に声を掛けに言ったように、ファンも長い目で見守った方が良さそうだ。

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【4月1日】アレックス・ラミレス、現役復帰後初アーチで今季初勝利を飾る。

伏線は2ヶ月前に張られていた。

奇しくもソフトバンク川崎宗則の電撃復帰を発表した1日、ベイスターズアレックス・ラミレスを監督兼選手として支配下登録をしたと衝撃の発表を行った。2013年以来4年ぶりのNPB復帰であり、今年で43歳になるラミレス監督の決断には正直戸惑いしか無いが、「選手としてプレーすることで、より選手の目線に合わせて采配出来るのではないかと思った。」という言葉は正しいと思った。活躍するかどうかはさておき、実際にどういった場面で登場するのか楽しみである。今思えば、2月のキャンプインの時点から減量をアピールしていたのはこのためだったのか。もしかしたら、オフの間もずっと考えていたことだったのかもしれない。開幕戦前はケンタッキーフライドチキンを頬張っていたラミレス監督だが、昨年は試合前の打撃練習に参加して打球を何発もスタンドインさせていただけに未だパワーは健在であろう。昨日は石川の前に翻弄されたベイスターズ打線だが、今日は球界最年長選手・ラミレスの復帰戦を飾る白星を飾りたいところだ。

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今日の主役は何と言ってもラミレス監督だろうヘルメットを被り、ネクストバッターズサークルに登場しただけで神宮球場は異様な雰囲気に包まれていた。「その瞬間」はあっという間だった。6回表、代打で登場すると、ギルメットの初球を叩いた打球はレフトスタンド上段に飛び込む特大の満塁ホームランになった。思えば4年前、外国人選手として初めてNPB通算2000本安打を放った時も、小雨が降る4月の神宮球場だった。ヤクルトファン、ベイスターズファン総立ちでラミレス監督に拍手を送る様子はあの日と全く同じだったが、現役時代のような陽気なパフォーマンスは行わず、その後も淡々と采配をする姿には月日の変化を感じた。この日は戸柱のプロ入り初のサイクルヒット、クラインの15奪三振含む初勝利と記録ずくめの一日だったが、スーパースターの活躍の前には霞んだ気がする。一方で山田哲人ホームラン性の打球をファンがスタンド目前でキャッチしてしまうというハプニングが起こるなど、ヤクルトは運に見放された一日だった。試合後、ラミレス監督は「筒香をたまには休ませるだけの活躍は見せたかな」と復帰後初アーチを喜んだ一方で、「明日は明日。切り替えていく」といつもの言葉で締めくくった。

 

 

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よく考えたら、ブログ更新したのは4月2日だった。一日遅れのエイプリルフールだったが、書いてる時はわりとノリノリで書いていたので後悔はしていない。ここからは実際の試合内容を振り返る。

1日も曇り空の神宮球場でヤクルト戦に臨んだベイスターズだったが、先発はオープン戦苦しんだクラインがマウンドに上がる。前回の西武戦でも150キロ近い球速は出ていたのでコンデイション面では問題無さそうだが、決め球であるスライダーの精度に欠き、ボール先行の苦しい投球になっていた。チェンジアップをほとんど使用していなかったが、公式戦初登板でどういう配球になるのか注目である。

ヤクルト先発は小川泰弘オープン戦は5試合に投げて防御率6.35と物足りない成績で公式戦初登板を迎える。ファーストストライクから積極的に振っていき、先制点を奪ってクラインを楽にしたいところだ。

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昨日のお返しと言わんばかりに打線が10安打を放ち、2017年の公式戦初勝利を達成した。初回から筒香が先制タイムリーを打ったことで、オープン戦から続く重苦しい雰囲気を一気に吹き飛ばした気がする。今年こそ2番打者として固定されることを期待されている梶谷は3本のツーベースを含む猛打賞と大活躍を見せた。攻撃的2番打者として最高の仕事を梶谷が成し遂げたことで、ラミレス監督の望む打線の流れを作ることが出来たことは大きい。6回表の4点は、公式戦初登板のギルメットの立ち上がりを上手く捉えたシリアコ・田中浩の連打倉本・戸柱の犠打と右打ち佐野が選球眼の良さを見せる出塁初球から積極性を見せた桑原のタイムリと各打者が自分の持ち味を発揮し、最後に梶谷が長打で締めるという綺麗な流れを見せた。桑原、シリアコ、戸柱が今シーズン初安打を記録し、これから調子も上っていきそうだ。

先発・クラインは140キロ中盤のストレートを軸に、5回を投げて畠山の1発による1点のみに抑える好投を見せた。時折荒れ球が打者の内角に来るため、ヤクルト打線も威力あるストレートに相当手を焼いたようだ。オープン戦全く結果を残せなかったと言っていいクラインにとって、何よりも勝利という結果が欲しいマウンドのは間違いない。それは連敗が続いていたベイスターズにとっても同じだったかもしれないが、この試合の勝利で重苦しい雰囲気は一掃することが出来た。6回以降に登板した砂田、パットン、三上、山崎康晃の盤石のリレーを含めて、完勝と言っていい試合展開で白星を飾った。

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【クライン】◯

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5回を投げて98球、与えた四球は4つと制球面で大きな改善があったという感じは無かったが、オープン戦の時と比べると球速を抑えつつ丁寧に投球している様子が伺える。それでも平均して140キロ中盤を記録しており、時折内角に投げ込まれるため打者も思い切って打ちにいくことが出来なかった。配球比率を見ると、注目していたチェンジアップの比率はこの日もそんなに高くは無かったため、日本ではチェンジアップを使わずにストレート、スライダー、カットボール、シュートといった球種を主に使用していくようだ。ただし、スライダーはこの日も一番ヒットを打たれており、4回裏、畠山にホームランを打たれた後、中村のセーフティ、暴投と2アウト2塁で一気に流れがヤクルトに傾いた場面で、西浦に投じたスライダーも完璧に捉えられていた。この場面でタイムリーを許せば上位打線に繋がりズルズル失点を重ねていてもおかしくない展開だったが、かろうじてサードライナーだったので失点はなんとか防いだ。とはいえ、スライダーの精度を上げることが次回以降の登板では鍵になるだろう。f:id:baymeshi:20170402042838p:plain

前回登板の西武戦の配球内容と比較すると、カットボールの配球比率を大幅に上げ、スライダー、シュートをやや抑えた配球にしていた。戸柱の判断で、カットボールが打者を打ち取るのに最も有効だと考えたのだろう。ヤクルト戦ではカットボールでヒットを許さなかったため、この判断は正解だった。試合展開によって配球比率は変わるが、神宮球場ハマスタのような狭い球場では、カットボール主体の投球が好結果を生みだすかもしれない。

【筒香嘉智】△

勝ったとはいえ、5回表の攻撃を見ていた段階では、ヤクルトに逆転敗けしそうな雰囲気はあった。直前に畠山にホームランを打たれ、その後もピンチを招いてなんとか凌いだ状況だったが、ベイスターズは5回表に梶谷、ロペス、筒香という打順の流れだったため、追加点に期待出来るイニングだった。ここで1点でも入れば試合は再びベイスターズに流れが傾く。しかし、先頭梶谷は高めのボール球に釣られて空振り三振。続くロペスも力のないショートゴロであっけなく2アウトになる。そして筒香を迎える場面だったが、小川ー中村バッテリーは一発長打だけは避けなければならない場面のため、ボールを3つ続けた。

投球数球種球速結果BSO
●1 89 ストレート 142km/h ボール
[高めのつり球]
1 0 2
●2 90 ストレート 140km/h ボール 2 0 2
●3 91 ストレート 142km/h ボール 3 0 2
●4 92 ストレート 139km/h 空振り 3 1 2
●5 93 ストレート 142km/h 空振り 3 2 2
●6 94 ストレート 140km/h ファウル 3 2 2
●7 95 ストレート 140km/h ファウル 3 2 2
■8 96 フォーク 133km/h 空振り
[ワンバウンド]
3 3 3

4球目は外角のストライクゾーンに入ったストレート。筒香はフルスイングでなんとか捉えようとしたが空振り、5球目も外角高めのストレートを空振りする。調子の良い時であれば無理に打ちに行こうとしないのが筒香だが、この打席では一発長打で打開したい、という思いが先行していたのだろうか。中村悠平も5球目を打ちに行って空振りした様子を見て、「最悪勝負を避ける」という判断から「この打席でアウトを確実に獲る」という判断に変えた気がした。結果的に最後はボールゾーンに外れた変化球に手を出して空振り三振。小川泰弘も雄叫びをあげてマウンドを降りた。強打者三人が完璧に抑え込まれたことで、5回裏のヤクルトの攻撃は非常に怖かったが、なんとか無失点に抑えた事がこの試合のポイントだった気がする。ボール先行で勝負を避ける場面は今シーズンずっと続くかもしれないが、ミスショットを逃さず捉えていたWBCの東京ラウンドの時のような集中力を早く取り戻したい。

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【3月31日】開幕戦・石川雅規、気温5℃の神宮球場で今年もベイスターズの前に立ち塞がる。

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東京は夜の6時。気温は5.8℃。小雨も降る神宮球場で2017年のベイスターズは開幕戦を迎えた。オープン戦は引き分けを挟んで6連敗と、投打が噛み合うこと無く開幕戦を迎えることにはなったが、WBCでさらに存在感を増した筒香嘉智を中心に打線が機能すれば、開幕戦に抜擢された石田健大を強力に援護できるだろう。相手は昨年ベイスターズから4勝を挙げたベイスターズキラー・石川雅規神宮球場では2015年から7連敗中という難敵が開幕戦の相手であり、オープン戦も14回を無失点で抑えるなどコンデイションも完璧な状態でマウンドに上がる。

石田もヤクルト戦には相性が良いためロースコアの試合展開が予想される。石田としてはヤクルト打線の中核を担う山田哲人バレンティンだけは波に乗らせないようにしたいところだ。ベイスターズとしては古巣相手にスタメン起用で抜擢された田中浩康が活躍すれば一気に流れが掴めそうな気がする。前を打つ筒香、シリアコの出塁が鍵になりそうだ。

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今年のヤクルトのスローガンは「目を覚ませ!」だそうだが、開幕戦から打線が目覚めて15安打を放つ猛攻を見せた。ヤクルトの先発石川はロペスにホームランを浴びるも、6回を投げて被安打5失点2と試合を作った。石田も粘りの投球を見せて6回を失点3で凌ぐも、後続の須田、進藤、高崎と打ち込まれ7回8回だけで被安打7失点6と炎上。ルーキー進藤のプロ初登板は1点ビハインドの1死満塁という厳しい場面だったが、中村、西浦に軍配が上がるホロ苦いデビューになった。地獄から這い上がって開幕一軍入りを掴んだ高崎も、オープン戦のように流れを変える事が出来ず、3失点と試合を決定づけてしまった。ヤクルト的には投打がしっかり噛み合い、申し分ない試合展開で開幕戦を勝ち取った。毎試合こういう試合運びが出来るわけではないが、この3連戦は少しヤクルト優位に戦えそうな雰囲気すら感じる快勝だった。ベイスターズ的にはまだエンジンが掛かっていない状態だが、早い段階でエンジンを掛けたいところである。

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【石田健大】◯

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開幕戦の登板としてはかなり厳しいコンデイションだった。試合には敗けたが、気温5℃で雨も降るという悪条件の中、粘りの投球を見せて6回を3失点でまとめることが出来たとも捉えられる。最高球速は142キロで、ほとんどの球速は135~138キロほどの球速しか出せなかった。ストレートの球速が伸び悩んだことで、チェンジアップやカーブといった緩急も球速差が出せず、4回裏は雄平中村悠平、5回裏はバレンティンにタイムリーツーベースと決め球であるチェンジアップを狙い打たれた。戸柱もこの日はチェンジアップのサインを出すのにためらったのか、オープン戦の日ハム戦や、昨年は1試合平均20%ほどの投球割合だったチェンジアップも10%以下になっている。次回登板ではもう少し平均球速が伸びるはずなので、開幕戦のような粘り強さが見せれば好投は期待できるのではないかと思う。

高崎健太郎】✕

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オープン戦では内角へのストレートが効果的で、チェンジアップのキレもあった高崎だが、石田同様ストレートと緩急の球速差が出せず苦しいマウンドになった。8回裏の先頭打者大引啓次に打たれたヒット、山田哲人に捉えれたツーベースはいずれも甘く入ったスライダーだった。オープン戦でも制球力が改善されたという感じではなかったが、スライダー、シュートといった球種で左右に投げ分ける投球が出来るようになったことでストライク先行の投球が出来ていた。しかし、この日はどちらかと言うと外角中心に偏る傾向があった。あまり考えたくはないが、4月1日先発のクラインオープン戦では球数が多い登板が続いただけに、高崎や進藤、砂田といったロングリリーフが登板する可能性は高い。開幕戦結果を残せなかった高崎や進藤にはリベンジの機会を大事にしてほしいところである。

石川雅規を何故攻略できなかったか】

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ヤクルト・石川も同じ条件だったが、Yahooの一球速報を見てもほとんどが低めに制球されており、失投と呼べるのは6回表にロペスにホームランを打たれた一球だけだった。オープン戦を14回無失点と、コンデイション面では絶好調の状態で開幕を迎えることが大きかったのだろうと思うが、昨年被打率が.327だったストレートも、被打率.294だったカットボールも、この日は凡打の山を築くのには有効な球種だった。昨年の石川は初球の被打率が.396だが、ベイスターズ打線は初球を見逃すケースが多かった点はあるものの、これだけ低めに制球されると狭い神宮球場といえどなかなか力強い打球は打てなかったのでは無いかと思う。今年も石川がベイスターズ戦に何度も登板してくるはずなので、今年こそは苦手意識を克服していきたいところである。

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進藤拓也の分析と起用法を考える。

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今ならロト6買っても当たる気がする。29日、プロ野球12球団は出場選手登録選手を公示した。ベイスターズで開幕一軍入りを果たした選手は表の通りである。事前予想では砂田毅樹ではなく平田真吾の開幕一軍を予想したが、ブルペン陣の左右のバランスを考えた結果、砂田が開幕一軍に抜擢される事になった。それ以外は開幕2戦目に先発登板が濃厚なクラインの一軍登録を含めて事前予想が見事に的中していた。大きなサプライズは無く、オープン戦好調だった選手がそのまま一軍入りを勝ち取ったという感じである。

1つ気掛かりなのはオープン戦チーム最多登板だった平田が開幕一軍を外れていることだ。オフシーズンからコンデイションが良く、キャンプ、オープン戦と結果を残してきただけに本人も今年の出来栄えには手応えを感じていたはずである。開幕一軍を逃した事でモチベーションの低下が懸念されるが、首脳陣には昨年から成長した投球をしっかりアピール出来ていた。2軍スタートにはなったが、一軍昇格は早めに訪れそうだ。

平田が開幕一軍を外れた一方で、同じく右のロングリリーフの役割を果たしていた高崎健太郎とルーキー進藤拓也は開幕一軍を勝ち取った。キャンプが始まる前、この二人の開幕一軍入りを予想していた人はどれだけいたのだろうか。痛風の影響もあり、チームを離脱していた元開幕投手の高崎。ドラフト候補と言われながら、制球難に苦しみ社会人野球で壁にぶち当たっていた進藤。去年の今頃は二人とも地獄を見ていたかもしれない。あれから一年が経った。オープン戦で結果を残せなかった先発投手からバトンを受け、流れを引き寄せる好投を続けた二人は、なんとも頼もしい姿だった。プロ野球の開幕は目前だが、今回は高崎と共に地獄から這い上がり、開幕一軍入りを掴み取った男、進藤拓也を取り上げたい。

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進藤拓也 1992年7月16日(25歳) 背番号43

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【人 物】

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秋田県大仙市出身

東京都23区よりも大きな面積に約8万人の人々が住む自然豊かな大仙市だが、毎年8月下旬になると全国から観光客が訪れる街として知られている。「大曲の花火」と言えば一度は聞いたこともあるかもしれない。日本三大花火大会の一つ、「全国花火競技大会」は、大仙市の雄物川河川敷運動公園で毎年開催されている。国内最高レベルの花火競技大会を見物しようと、大仙市の人口の10倍近い、約70万人もの人々が夏休みの最後に大仙市を訪れる。その歴史は甲子園大会よりも古く、今年で91回目の開催となる。マウンド上で花火大会を開催するのは勘弁してほしいが、進藤の故郷は今年も多くの観光客で賑わうことになりそうだ。

www.oomagari-hanabi.com

中学生の頃は控えの一塁手という、どこにでもいる野球少年だったそうだ。本格的に投手に転向したの西仙北高校に進学してからだった。高校1年生の1年間だけ、ソフトバンク・攝津正元巨人・小野仁らを指導した経験を持つ鈴木寿宝氏が監督を務めており、進藤はそれまで経験したこと無いほど猛練習に明け暮れるようになった。その結果、2年生になってからは主力投手として台頭し、3年夏になると球速は142キロまで上昇する。決して高校野球の強豪校ではない西仙北高校だが、エース進藤が全試合ほぼ一人で投げぬき、高校歴代最高成績の県大会ベスト4進出を果たした。

甲子園経験は無いものの、県屈指の好投手として注目されたこともあり、少し自信がついたのだろうか。大学は多くのプロ野球選手を輩出した横浜商科大学を選択する。1学年上に阪神・岩貞祐太楽天西宮悠介が在籍していたが、彼らの球を見て「4年間やってベンチ入りを果たせたらいいか」と思っていたそうである。この辺りは尾仲祐哉笠井崇正もインタビューで同じような事を答えていたが、進藤の場合は入部後故障とイップスに悩まされ、なかなか出場機会も訪れない日々を過ごしていた。2年目から救援投手として徐々に試合に出るようになったが、まだ投球には安定感を欠いていた。3年になると球速はMAX150キロまで伸び、4年春の開幕戦で先発を任されるも全く結果を残すことは出来なかった。4年春の成績は0勝4敗。監督から2ヶ月間投球をさせてもらえず、ずっと草むしりをしていた時期もあったそうである。ようやく投球練習を再開できるようになってからはインコース以外投げるな」という監督司令の元、徹底的にインコースの制球力を磨き続けた。その甲斐あってか、4年秋には球威も復活し、大学通算3勝5敗ながらプロからも注目される選手になった。結局プロ志望届は提出しなかったが、社会人野球の強豪、JR東日本に就職する。

JR東日本では1年目から先発、救援とフル回転で活躍する。球速も都市対抗野球大会で自己最速の153キロを計測していた。一方で制球力に関してはなかなか改善されることはなかった。社会人1年目は25試合で投球回数97回1/3を投げ、与えた四死球は41個だった。ドラフト解禁年になる社会人2年目。長年の制球難を克服するため、監督からサイドスロー転向を打診された進藤は、都市対抗野球大会予選の1週間前にサイドスロー転向を決断する。この決断が功を奏した。荒れ球とスライダーのコンビネーションがサイドスローになったことでより効果的になり、結果的にフォームも安定するようになった。都市対抗野球大会の予選は5月中旬から始まるので、去年の今頃はサイドスローですらなかったということになる。オープン戦の登板を見ても、決して安定した制球力を持った投手ではないことがわかるが、今後の伸びしろもまだまだありそうな印象である。

【分 析】

www.youtube.com

改めて動画で確認したが、あまり見たことのない独特の投球フォームである。サイドスローではあるが、一般的なサイドスロー投手のように大きく腕をしならせる投球フォームではなく、非常に小さなテークバックで躍動感のあるフォームである。ウィーラーへの4球目。インコースのストライクゾーンに決まったボールは右打者からすると相当打ちにくい印象を受けるのではないか。どの球種もキレがあり、投球フォームも独特でタイミングが取りにくい。基本的な投球スタイルは荒れ球気味のストレートを軸として球速差のあるカーブとフォークでカウントを稼ぎ、非常にキレのあるスライダーを決め球として使う感じだろうか。特に、右打者からすると時折投げ込まれるインコースのボールにかなり手を焼きそうだ。f:id:baymeshi:20170330065318p:plain

一方、左打者に対しては課題も残されている。25日の西武戦で源田壮亮、秋山翔吾、田代将太郎と左打者が3人続いた場面で3連打を浴びた。シンカー系の球種習得を目指しているようだが、左打者が打ちにくいボールを習得することが一軍で活躍する鍵になりそうだ。

今やスポーツライターとして活躍している高森勇旗氏は、昨年JR東日本時代の進藤にインタビューを行っていた。実際にボールを受けて、キャッチャー目線から見た進藤の特徴について、こう感想を述べている。

私のイメージでは、サイドスローというとテークバックで腕を大きく横に開く。そこから体を回転し、腕に遠心力がかかり横の角度からボールを放つものだ。同じくJR東日本出身の十亀剣投手もその典型である。しかし、進藤投手にはそれがない。小さいテークバックで、サイドから投げ込んでくる。そのため、腕を「振る」というより、「押し込む」というイメージに近い。これが「強い」と感じる要因なのか。

(中略)

思わずうなった。サイドスローのスライダーというと、普通は大きく曲がる。しかし、進藤投手のスライダーは小さく、真横に曲がる。実は、サイドスローの大きく曲がるスライダーほど打ちやすいものはない。なぜなら、投げた瞬間にスライダーの軌道がわかるからである。進藤投手のスライダーは、真っすぐの軌道から滑るように曲がる。これは、かなり効果的なボールになる。

出典:野球太郎 No.20(廣済堂出版)

元キャッチャーの目線から見ても、ポテンシャルの高さを感じさせたようだ。ちなみに高森氏のインタビューでは、進藤がこれから取り組むべき課題についても語っている。

球速差のあるカーブに、フォーク。この2球種は、サイドに転向したばかりだからか、まだ安定感に欠ける。しかし、フォークには伸びしろがある。コントロールを気にして落としにいっているが、もっと引っ掛けるように腕を振りきれば、確実にキレを増すだろう。ストライクゾーンの左右を支配し、縦変化をマスターすれば、残るは前後だけ。緩急はのちにマスターするとして、まずは左右の精度を磨いて勝負するタイプのピッチャーになってもらいたい。 

出典:野球太郎 No.20(廣済堂出版) 

【今後の起用法】

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大卒社会人投手ということもあり、ドラフト8位とは言え即戦力として期待がかかる立場である。主な大卒社会人出身のサイドスロー投手をピックアップしてみたが、三上や秋吉、十亀といった投手は1年目からフル回転で活躍していた。アマチュア時代から目立った活躍をしていた三上や秋吉に比べると、進藤は実績が少なく、サイドスローに転向したのもまだつい最近の投手である。彼らのようにいきなりセットアッパーとして定着するのは難しそうだが、まずは比嘉や東條のようにロングリリーフ、便利屋として地位を築いていくことになりそうだ。

ただし、オープン戦阪神戦で5球投じた以外はセ・リーグ相手に投げる事はなかった。初見でなかなか進藤の独特の投球フォームやストレートの威力、変化球のキレといった特徴を見切るのは相当難しく、セ・リーグの各バッターが慣れるまである程度時間がかかるのではないか。まさに「ハマの秘密兵器」である。開幕カードであたるヤクルト・山田哲人バレンティンに対しても強気な投球が出来るか注目だ。

ベイスターズには加賀繁、藤岡好明、三上朋也、水野滉也と右のサイドスロー投手が数多く在籍しているが、それぞれタイプが異なる投手であり、進藤もインコースに「押し込む」ストレートと真っすぐの軌道から小さく曲がるスライダーを武器にする、他の投手にない特徴を持っている。高森氏が指摘するように、左右の精度を磨くことが出来たら、ドラフト8位からセットアッパーとして一気に新人王へ駆け上がる可能性は充分ありそうだ。

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開幕一軍メンバーを予想してみた。

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昨年ほど悲壮感が無いのはオープン戦のチーム打率が12球団ダントツ1位の.289だったせいか。ベイスターズは5勝11敗1分けでオープン戦を終えた。昨年のクライマックスシリーズ進出から今年のオープン戦序盤まで、ベイスターズファンは割りと充実した日々を送っていたはずだが、久々に味わう連敗地獄に早くも打ちのめされているファンも多いのではないか。ハマスタでは1勝も出来ず、オープン戦中盤からは1分けを挟んで6連敗と泥沼と言っていい状態で開幕を迎えるわけだが、少なからず手応えも感じる一ヶ月だったように思える。シリアコが.375でオープン戦首位打者になったり、三塁手のポジションを争う白崎浩之が4本塁打と結果を残したり、ルーキー佐野恵太関根大気といった若手選手の活躍が目立っていたからかもしれない。結局借金6で終わったオープン戦だが、3月31日を迎えたら借金はリセットされる。公式戦が始まれば借金がリセットされることはシーズン終了まで無いのだから、この1ヶ月間の連敗地獄も心の準備が出来たと思えば悪くないかもしれない。決して、自惚れてはいけないのだ。

f:id:baymeshi:20170328024633p:plain2016年の開幕一軍は26名だった。先発投手は開幕投手井納翔一と2戦目に先発した久保康友のみ選出し、ブルペンは7人体勢でスタートした。その後、石田健大今永昇太を一軍に合流した後もブルペン7人体勢は維持し続けていたので、基本的には今年も先発6名+救援7名の13名で投手陣の一軍枠を確保することになるのではないかと思う。

捕手は昨年開幕前から「捕手は2人体勢で行く」とラミレス監督は宣言していたが、スタートは3人体勢だった。ただし、先発6番手に抜擢された砂田毅樹との入れ替えで3月31日に黒羽根利規が降格して以降は、基本的には捕手2人体勢で起用し続けていた。

野手に関してはルーキーだった柴田竜拓を一軍抜擢した他、柳田殖生、飛雄馬、山下幸輝といったユーティリティプレイヤーを何名か開幕一軍入りさせた。先発投手が一軍合流して以降は野手枠が減り、開幕一週間後には黒羽根、飛雄馬、松本は降格している。

こうしてみると、昨年は中堅・ベテラン選手を開幕一軍メンバーに多く選出している傾向があり、今年のオープン戦では昨年と比較しても若手選手を積極的に起用している事がわかる。梶谷隆幸エレラ、山口俊といった主力選手の出遅れもあり、監督1年目で全ての選手の特徴を掴みきれていなかったという事を考えると、ベテラン選手の重用も仕方がなかったのかもしれない。その点、今年はキャンプから若手選手がアピールし続けており、投手、野手ともに開幕一軍メンバーはガラリと変わりそうだ。

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2017年の開幕一軍メンバーはこのように予想した。オープン戦最後の西武戦で起用された選手を中心に選出したが、山崎憲晴、荒波翔を外して野手は16名選んだ。ユーティリティプレイヤーとしての働きを考えると山崎憲の開幕一軍入りは充分有り得ると思うが、二遊間の守備が少し気掛かりなこと、内野手で複数ポジション守れる柴田や田中浩が好調であることを考えると、山崎憲は調子を取り戻してきた段階で昇格した方が良いと判断した。荒波に関しても、梶谷が戦列復帰した事、左の代打は佐野、乙坂も調子が良い事を考えて開幕一軍メンバーからは外した。ただし、梶谷やWBCから復帰したばかりの筒香のコンディションが万全でないと首脳陣が判断したら荒波の開幕一軍入りも充分考えられるだろう。

投手陣は10名で、中継ぎには好調を維持し続けている高崎健太郎平田真吾の他、ルーキー進藤拓也を選出してブルペン枠を8名でスタートした。先発投手が合流したらこの中の誰かは2軍降格だと思うが、3名ともオープン戦で結果を残しており、ロングリリーフも可能だということを考えると開幕一軍入りは濃厚だろう。左の中継ぎ枠では砂田も考えられたが、25日の2軍戦で2回5失点と炎上しており、開幕一軍入りは厳しい状況である。

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先発ローテーションは悩んだ。西武戦の試合後、登板内容を不安視されたクラインに対して「先発ローテーションとして考えている」と評価していたラミレス監督も、ここにきて先発ローテーションの見直しを検討し始めている。開幕投手の石田と本拠地開幕投手の今永はほぼ確定だが、それ以外の投手に関しては登板日がまだ流動的で、2軍日ハム戦(28日~30日)での調整登板によって順番が入れ替わりそうだ。腰に違和感のあるウィーランドや、まだ調整機会が必要そうなクラインあたりは出番があるかもしれない。そのため、開幕2戦目と3戦目の投手がなかなか予想できなかった。ロングリリーフ要因を高崎や平田、進藤と多めにしたのは先発予想が難しかったというのもある。消去法でクラインと濱口を先発予想したが、先発予想に関してはまだ大きく変わりそうだ。

おそらく数日以内に開幕一軍選手は発表されると思う。オープン戦では負け越したベイスターズだが、セ・リーグ相手には巨人と阪神を1試合ずつしか対戦しておらず、中日、広島、ヤクルト相手にはオープン戦で一度も当たっていない。この事が吉と出るか凶と出るか。サプライズ選出も含めて開幕一軍メンバーの発表を楽しみに待ちたい。

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【3月25日】西武戦・クラインはあえてチェンジアップを使わなかったのか

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今年の花粉は例年と比べて一段と多い気がする。喉も鼻も眼も花粉症に悩まされる私だが、アメリカからやってきたフィル・クラインにとっては私以上に苦しい3月を送っているかもしれない。シリアコ、ウィーランド、パットンと新外国人選手が結果を残しながらも「クラインの先発ローテーション入りは確実だろう」と首脳陣もファンも揺るぎない評価をしていた3月上旬。その評価は今、崩れかかっていると言ってもいいだろう。オープン戦4試合に登板して1勝2敗ながら防御率は6.88。昨年3Aで与四死球率2.1%を記録した制球力は鳴りを潜め、オープン戦におけるクライン四死球率は12.2%と壊滅的な数字に終わっている。常にランナーを背負った場面で投球するため、足でかき回されたり、暴投、ボークで更なるピンチを招く場面も目についた。慣れない日本式のマウンドで、ステップ位置を気にしながら投球する姿を見ると、201センチ116キロの大柄な身体は少し小さく感じてしまう。

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なかなか結果を残せない登板が続いているが、それでもラミレス監督は「先発ローテーション入りは変えるつもりはない」と明言している。他の先発候補である三嶋一輝、砂田毅樹、熊原健人らも結果を残せなかった、というやや寂しい事情もあるが、結果だけ見るとクラインに対するラミレス監督の評価は過大評価なのでは?と感じる人も多いはず。とはいえ、単なるリップサービスで無ければクラインの先発ローテーション入りを明言するだけの根拠はおそらくあるはず。3回2/3を投げ自責点5と、先発投手の役割を果たしたとはいえなかった3月25日の西武戦の投球を振り返ってみた。

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アメリカ時代も150キロ近いストレートと縦スライダーを軸にしていた投球スタイルで、カットボールシュート(ツーシーム系の球種でアメリカ時代はシンカーという分類になっていたが、Yahooの一球速報ではシュートとしてカウントされていた)といった球種も武器にしていた。ストレートに関しては、この日もゴロを4つ奪うなど威力充分だったが、決め球であるスライダーに精度を欠いていた。

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投球コースに関してはやや不正確な部分もあるが、25日の登板は変化球でストライクを獲ることに苦戦していたことがわかる。決め球であるスライダーは外中心に配球され、シュート、カットボールといった球種も内角攻めに関してはやや積極性を欠いていたようである。次回登板では、内角に対していかに投げ込めるかが鍵になっていきそうだ。

だが、クラインの投球をYahooの一球速報で振り返って一番感じたことは、「チェンジアップを意図的に使っていなかったのではないか」ということである。アメリカ時代は基本的にストレートとスライダーを軸に投球していたクラインだったが、ここ1,2年はチェンジアップも決め球として使用していた。最も、メジャーで登板した際はスライダーほど威力は無かったようだが、ゴロを打たせる球種としても有効だったはずである。この日の登板では、左打者の秋山翔吾田代将太郎に対して1球ずつしか使用していなかった。チェンジアップをあえて使わなかったのか、それともランナーを気にして使う場面が無かったのか興味深い所である。

結果論になるが、先制点を許した4回の木村文紀、続く山川穂高の場面ならチェンジアップでタイミングをずらすのも一つの手だったはず。それでも戸柱はあえてストレートとスライダーで組み立てていたので、公式戦になれば配球の組み立て方も大きく変わりそうな気がした。試合後、本人も「投げ急いでしまった」と反省の言葉を口にしていたが、ぶっつけ本番の公式戦登板で好投する可能性は充分ありそうだ。順当に行けば神宮球場でのヤクルト戦での先発登板が濃厚だが、どんな初登板になるのか少し期待してみたい。

余談だが、ブログタイトルを「時計仕掛けのロマック」と変え、デザインも色々変えてみたが、デザインを変えてからベイスターズの連敗が止まらなくなってしまった。言葉の響きだけで考えた新しいブログタイトルだが、このまま連敗が止まらないとなんだか不吉で仕方がない。本日先発予定の今永昇太オープン戦最後の試合を白星で締めてほしいところである。

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ベイスターズファンなら覚えておきたいセンバツ注目選手

侍ジャパンベイスターズオープン戦も今が一番面白い時だが、NHKの野球中継を一日中見る季節が今年もやってきた。選抜高校野球大会は3月19日から開幕する。今年は早稲田実業・清宮幸太郎が2年ぶりに甲子園に帰ってくるとあって、例年にも増して注目度の高い大会になっている。早稲田実業の初戦の相手は明徳義塾。かつて松井秀喜を5打席敬遠し、高校野球らしからぬ非情采配に物議を醸した馬淵監督率いる明徳義塾が新たな怪物清宮相手にどう勝負を挑むのか。話題性充分の試合になりそうだが、よりによって早稲田実業明徳義塾の試合が行われるのが3月23日。前日に行われる準決勝を侍ジャパンが勝ち抜けば、同じ時間にドジャースタジアムで決勝戦を戦う侍ジャパンの姿を見ることになる。イニング間にNHKテレビ朝日を行ったり来たりする野球ファン続出の一日になりそうだ。

清宮以外にも、将来性豊かな長距離砲の活躍が注目されている。履正社・安田尚憲若林将平のクリーンナップは共にドラフト上位候補。高校生とは思えない打球の力強さが魅力で、甲子園でもその打棒に注目が集まっている。この二人も180cm以上ある立派な体格の長距離砲なのだが、日大三・金成麗生は193cm101kgと高校生とは思えない体格のスラッガーである。背筋力は300kgを超え、対外試合で130mの飛距離を放ったホームランを打ったこともある。打球の飛距離だけで言えばプロでも上位クラスと言ってもいいだろう。アメリカ人とのハーフであり、すでに「和製ディカプリオ」としてメデイアでも注目されているだけに、プロ入りしたら人気を博するのは間違い無さそうだ。一方、盛岡大付属には身長165cmのスラッガーがいる。右の外野手・植田拓は小柄ながら生粋の飛ばし屋で高校通算36本塁打を記録。センバツで名を売る活躍を見せられるか。

投手に関しては、昨年の藤平尚真寺島成輝のような現時点でドラフト1位の有力候補と言えるような選手はまだ出てきていない。今大会のナンバーワン投手は東海大望洋・金久保優斗だろうか。MAX147キロのストレートを軸に秋大会では7連続完投を成し遂げ、東海大望洋センバツ出場切符をもたらした右腕である。冬の地道なトレーニングを経てどこまで球速が伸びているか注目だ。打線に注目が集まる履正社はMAX145キロを計測した右の本格派投手・竹田祐がエースであり、新二年生の根尾昴に注目が集まる大阪桐蔭のエース・徳山壮磨、昨年センバツ8強を成し遂げた滋賀学園のエース・神村月光、左投手ではナンバーワンの評価が高い日大三・桜井周斗もプロ注目の選手である。今年の高校野球は清宮に代表されるように打者豊作と言われている一方で、投手は不作の年という評価をよく耳にする。センバツで一気に名を挙げる投手が何人誕生するか。今年は特に投手に注目してセンバツ野球を楽しみたい。

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さて、これからが本題である。昨年、細川成也、松尾大河、京山将弥と高校生を3名指名したベイスターズ。今年も何名かは高校生を指名するだろうが、上記の年齢別ポジションの一覧表を見ると、ドラフトの補強ポイントが少しづつ見えてくる。

①4年連続で高卒投手を指名しているが、先発型の左投手は砂田以降指名していない。

②高卒捕手は亀井以降指名していない。(網谷は今年から内野起用がメイン)

③網谷、山本武、細川、青柳と右の長距離砲候補は揃ってきている。

④二遊間を守れる選手がやや手薄で、足の使える選手が不足気味。

①に関しては、砂田毅樹も救援起用になりそうなので、今年は高卒の左投手を1名確保しておきたいところだ。今永昇太、石田健大、濱口遥大と1軍は左の先発投手が豊富になってきたが、飯塚悟史綾部翔のように2軍でローテーションを守れる高卒の左投手が欲しい。昨年もスポーツ紙によってはドラフト当日まで「DeNAはドラフト1位で寺島成輝を指名予定」と報じる記事があったほど寺島の実力を評価しており、寺島のようなストレートにキレがある投手を好む傾向があるかもしれない。

②もドラフトの注目ポイントで、週末から1軍に合流する戸柱恭孝の他にも、高城俊人、嶺井博希、黒羽根利規がいるため、即戦力捕手の獲得はそれほど重要では無くなった。どちらかというと高卒の捕手を指名し、2軍でじっくり経験を積ませることが必要になってきたのではないか。理想は日ハム・清水優心、オリックス・若月健矢のような起用法である。彼らも高校日本代表メンバーだったので、育てがいのある捕手を指名したいところだ。

筒香嘉智がいずれメジャーリーグに挑戦する、というのを考慮してか、最近のドラフトではポスト筒香を意識した選手の獲得が続いた。その結果、網谷圭将、細川成也という将来性豊かなスラッガー候補を育成できるようになり、青柳昴樹、山本武白志、松尾大河ら積極的に使っていきたい選手も増えた。そのため、今年のドラフトの目玉である清宮や龍谷大平安・岡田悠希星稜・寺西建、先程名前を挙げた安田、若林、金成といったスラッガー候補の獲得優先度は下がった気がする。次世代の主軸候補が欲しい巨人、阪神、ヤクルト、日ハム、ロッテ、楽天、西武あたりは彼らがドラフトの中心になってきそうだが、ベイスターズとしてはドラフト中位まで残っていたから指名する、といったスタンスになりそうだ。

④は昨年松尾を指名したが、内野の層を厚くするためにはさらに足の速い選手が欲しいところである。走力を期待されている百瀬大騎は毎年2軍の試合出場が多くなり、昨年は10盗塁を決めるなど成長は見せているが、打率は.177、失策数15で盗塁成功率も62.5%と厳しい成績に終わった。タイプ的には内村賢介のような小技に特化しているタイプというよりは、将来的にはトリプルスリーを目指していけるような身体能力の高い選手がベイスターズスカウト好みのような気がする。

以上の点を踏まえ、今年のドラフトでベイスターズが指名しそうなセンバツ出場選手をピックアップしてみた。

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【静岡・池谷蒼大(静岡)】

3月23日(木)第三試合・不来方(岩手)

175cm75kgの左投手で、最速144キロのストレートとスライダー、チェンジアップが武器の投手である。今大会屈指の左投手と呼声高く、東海大会4試合のうち3試合を完投勝利している。コントロールの精度も荒削りで、まだフォームは固まっていない印象もあるが、冬の期間中に体幹をしっかり鍛えていればセンバツでブレイクする可能性がある。日大三・桜井周斗もドラフト候補の左腕なのだが、日大三は比較的プロ志望届を提出する投手が少ない傾向にあるため、今回は池谷をピックアップしてみた。左投手では、三浦大輔の母校でもある高田商のエース・古川響輝秀岳館の左の2枚看板・川端健斗、田浦文丸の直接対決も3月22日の第二試合に行われるので注目しておきたい。

池谷 蒼大(静岡) | 選手名鑑 | 高校野球ドットコム 【静岡版】

前橋育英・丸山和郁(群馬)】

3月20日(月)第三試合・中村(高知)

西武・高橋光成を擁して夏の甲子園を沸かせた前橋育英の左投手だが、今年のチームには右の吉沢悠、皆川喬涼、左の丸山とストレートが140キロを越す投手が3人いる。加えて192センチの根岸崇裕も実績が少ないながらMAX138キロを計測し、投手陣の層は全国的にもかなりレベルが高い。丸山はどちらかというとリリーフ起用が多いようだが、身体能力が高く外野手としても出場している。ベイスターズ的には池谷のような先発タイプの方が補強ポイントに合うが、ストレート主体に切れのあるスライダー、チェンジアップを投げ込む投球スタイルは砂田毅樹のイメージに近く、こちらもセンバツで一気にブレイクしそうな気配がある。時折スローボールも投げ込むようなので、流れを変える投球にも注目である。

丸山 和郁(前橋育英) | 選手名鑑 | 高校野球ドットコム 【群馬版】

【熊本工・山口翔(熊本)】

3月19日(日)第三試合・智辯学園(奈良)

今大会最速投手であり、荒れ球気味のMAX149キロのストレートが武器の右投手である。名前も特徴も、山口俊の後継者といってもいいような投手だが、182cm72kgという体格はどちらかというと綾部翔京山将弥に近い。ベイスターズのスカウトの傾向として、右投手は①投球フォームが綺麗②身長180cm以上の投手③ストレートが速い投手を好むところがある。綾部や京山も傾向に当てはまる選手だが、阪神・望月惇志、巨人・与那原大剛もドラフト前は相当実力を評価していた記憶がある。こういったタイプに当てはまる投手が山口であり、癖のないフォームから力強いストレートを投げ込む姿はベイスターズスカウト好みではないかと思う。初戦の相手は昨年の選抜王者・智辯学園で、福元悠真、太田英毅らドラフト候補相手にどのような投球を見せるか期待したい。

山口 翔(熊本工) | 選手名鑑 | 高校野球ドットコム 【熊本版】

福岡大大濠・古賀悠斗(福岡)】

3月21日(火)第一試合・創志学園(岡山)

福岡大大濠のエース・三浦銀二を引っ張る正捕手である。一年生の時からレギュラーを獲得したが、ポジションは三塁手。その後遊撃手に転向していたが、強肩を買われ2年生の秋から捕手に転向した。佐野恵太も高校時代同じ道を歩んでいたが、遊撃手など内野手を経験してから捕手になるとフットワークも軽いため、送球も安定するようである。捕手としての評価はまだこれからという感じだが、打力に関しては折り紙付きで、高校通算本塁打は42本を記録。エース三浦、4番東玲央らとともに神宮大会4強入りを成し遂げる原動力となった。捕手ではセンバツに出場していないが、九州学院・村上宗隆横浜・福永奨も評価が高い。ベイスターズ的には横浜市出身で横浜高校に入学した福永の指名が理想かもしれないが、この3人の誰かはドラフトで指名したい所である。どうしても名前が気になるエース・三浦銀二も横浜のユニフォームが似合いそうなので、バッテリーで指名できたら大きな話題になりそうだ。

古賀 悠斗(福岡大大濠) | 選手名鑑 | 高校野球ドットコム 【福岡版】

宇部鴻城・嶋谷将平(山口)】

3月24日(金)第一試合・大阪桐蔭(大阪)

いきなり優勝候補・大阪桐蔭に激突した宇部鴻城だが、左のエース・早稲田玲生は140キロ近いストレートが武器の好投手で、打力が注目されている嶋谷が打線の中軸を担うため、名門相手にも簡単には屈しない強さを持っている。嶋谷がすでにドラフト上位候補と言われる最大の理由は遊撃手として安定した守備を持っているからだろう。嶋谷を実際に球場で見ている人は「スローイングの安定感」に高い評価を与えている。加えて打撃力も高く、松尾大河の対抗馬が欲しいベイスターズとしては嶋谷は補強ポイントに合う存在だろう。今年は遊撃手の逸材があまり多くないため、嶋谷や仙台育英・西巻賢二あたりはスカウトも注目しているかもしれない。

嶋谷 将平(宇部鴻城) | 選手名鑑 | 高校野球ドットコム 【山口版】

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