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時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

進藤拓也の分析と起用法を考える。

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今ならロト6買っても当たる気がする。29日、プロ野球12球団は出場選手登録選手を公示した。ベイスターズで開幕一軍入りを果たした選手は表の通りである。事前予想では砂田毅樹ではなく平田真吾の開幕一軍を予想したが、ブルペン陣の左右のバランスを考えた結果、砂田が開幕一軍に抜擢される事になった。それ以外は開幕2戦目に先発登板が濃厚なクラインの一軍登録を含めて事前予想が見事に的中していた。大きなサプライズは無く、オープン戦好調だった選手がそのまま一軍入りを勝ち取ったという感じである。

1つ気掛かりなのはオープン戦チーム最多登板だった平田が開幕一軍を外れていることだ。オフシーズンからコンデイションが良く、キャンプ、オープン戦と結果を残してきただけに本人も今年の出来栄えには手応えを感じていたはずである。開幕一軍を逃した事でモチベーションの低下が懸念されるが、首脳陣には昨年から成長した投球をしっかりアピール出来ていた。2軍スタートにはなったが、一軍昇格は早めに訪れそうだ。

平田が開幕一軍を外れた一方で、同じく右のロングリリーフの役割を果たしていた高崎健太郎とルーキー進藤拓也は開幕一軍を勝ち取った。キャンプが始まる前、この二人の開幕一軍入りを予想していた人はどれだけいたのだろうか。痛風の影響もあり、チームを離脱していた元開幕投手の高崎。ドラフト候補と言われながら、制球難に苦しみ社会人野球で壁にぶち当たっていた進藤。去年の今頃は二人とも地獄を見ていたかもしれない。あれから一年が経った。オープン戦で結果を残せなかった先発投手からバトンを受け、流れを引き寄せる好投を続けた二人は、なんとも頼もしい姿だった。プロ野球の開幕は目前だが、今回は高崎と共に地獄から這い上がり、開幕一軍入りを掴み取った男、進藤拓也を取り上げたい。

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進藤拓也 1992年7月16日(25歳) 背番号43

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【人 物】

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秋田県大仙市出身

東京都23区よりも大きな面積に約8万人の人々が住む自然豊かな大仙市だが、毎年8月下旬になると全国から観光客が訪れる街として知られている。「大曲の花火」と言えば一度は聞いたこともあるかもしれない。日本三大花火大会の一つ、「全国花火競技大会」は、大仙市の雄物川河川敷運動公園で毎年開催されている。国内最高レベルの花火競技大会を見物しようと、大仙市の人口の10倍近い、約70万人もの人々が夏休みの最後に大仙市を訪れる。その歴史は甲子園大会よりも古く、今年で91回目の開催となる。マウンド上で花火大会を開催するのは勘弁してほしいが、進藤の故郷は今年も多くの観光客で賑わうことになりそうだ。

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中学生の頃は控えの一塁手という、どこにでもいる野球少年だったそうだ。本格的に投手に転向したの西仙北高校に進学してからだった。高校1年生の1年間だけ、ソフトバンク・攝津正元巨人・小野仁らを指導した経験を持つ鈴木寿宝氏が監督を務めており、進藤はそれまで経験したこと無いほど猛練習に明け暮れるようになった。その結果、2年生になってからは主力投手として台頭し、3年夏になると球速は142キロまで上昇する。決して高校野球の強豪校ではない西仙北高校だが、エース進藤が全試合ほぼ一人で投げぬき、高校歴代最高成績の県大会ベスト4進出を果たした。

甲子園経験は無いものの、県屈指の好投手として注目されたこともあり、少し自信がついたのだろうか。大学は多くのプロ野球選手を輩出した横浜商科大学を選択する。1学年上に阪神・岩貞祐太楽天西宮悠介が在籍していたが、彼らの球を見て「4年間やってベンチ入りを果たせたらいいか」と思っていたそうである。この辺りは尾仲祐哉笠井崇正もインタビューで同じような事を答えていたが、進藤の場合は入部後故障とイップスに悩まされ、なかなか出場機会も訪れない日々を過ごしていた。2年目から救援投手として徐々に試合に出るようになったが、まだ投球には安定感を欠いていた。3年になると球速はMAX150キロまで伸び、4年春の開幕戦で先発を任されるも全く結果を残すことは出来なかった。4年春の成績は0勝4敗。監督から2ヶ月間投球をさせてもらえず、ずっと草むしりをしていた時期もあったそうである。ようやく投球練習を再開できるようになってからはインコース以外投げるな」という監督司令の元、徹底的にインコースの制球力を磨き続けた。その甲斐あってか、4年秋には球威も復活し、大学通算3勝5敗ながらプロからも注目される選手になった。結局プロ志望届は提出しなかったが、社会人野球の強豪、JR東日本に就職する。

JR東日本では1年目から先発、救援とフル回転で活躍する。球速も都市対抗野球大会で自己最速の153キロを計測していた。一方で制球力に関してはなかなか改善されることはなかった。社会人1年目は25試合で投球回数97回1/3を投げ、与えた四死球は41個だった。ドラフト解禁年になる社会人2年目。長年の制球難を克服するため、監督からサイドスロー転向を打診された進藤は、都市対抗野球大会予選の1週間前にサイドスロー転向を決断する。この決断が功を奏した。荒れ球とスライダーのコンビネーションがサイドスローになったことでより効果的になり、結果的にフォームも安定するようになった。都市対抗野球大会の予選は5月中旬から始まるので、去年の今頃はサイドスローですらなかったということになる。オープン戦の登板を見ても、決して安定した制球力を持った投手ではないことがわかるが、今後の伸びしろもまだまだありそうな印象である。

【分 析】

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改めて動画で確認したが、あまり見たことのない独特の投球フォームである。サイドスローではあるが、一般的なサイドスロー投手のように大きく腕をしならせる投球フォームではなく、非常に小さなテークバックで躍動感のあるフォームである。ウィーラーへの4球目。インコースのストライクゾーンに決まったボールは右打者からすると相当打ちにくい印象を受けるのではないか。どの球種もキレがあり、投球フォームも独特でタイミングが取りにくい。基本的な投球スタイルは荒れ球気味のストレートを軸として球速差のあるカーブとフォークでカウントを稼ぎ、非常にキレのあるスライダーを決め球として使う感じだろうか。特に、右打者からすると時折投げ込まれるインコースのボールにかなり手を焼きそうだ。f:id:baymeshi:20170330065318p:plain

一方、左打者に対しては課題も残されている。25日の西武戦で源田壮亮、秋山翔吾、田代将太郎と左打者が3人続いた場面で3連打を浴びた。シンカー系の球種習得を目指しているようだが、左打者が打ちにくいボールを習得することが一軍で活躍する鍵になりそうだ。

今やスポーツライターとして活躍している高森勇旗氏は、昨年JR東日本時代の進藤にインタビューを行っていた。実際にボールを受けて、キャッチャー目線から見た進藤の特徴について、こう感想を述べている。

私のイメージでは、サイドスローというとテークバックで腕を大きく横に開く。そこから体を回転し、腕に遠心力がかかり横の角度からボールを放つものだ。同じくJR東日本出身の十亀剣投手もその典型である。しかし、進藤投手にはそれがない。小さいテークバックで、サイドから投げ込んでくる。そのため、腕を「振る」というより、「押し込む」というイメージに近い。これが「強い」と感じる要因なのか。

(中略)

思わずうなった。サイドスローのスライダーというと、普通は大きく曲がる。しかし、進藤投手のスライダーは小さく、真横に曲がる。実は、サイドスローの大きく曲がるスライダーほど打ちやすいものはない。なぜなら、投げた瞬間にスライダーの軌道がわかるからである。進藤投手のスライダーは、真っすぐの軌道から滑るように曲がる。これは、かなり効果的なボールになる。

出典:野球太郎 No.20(廣済堂出版)

元キャッチャーの目線から見ても、ポテンシャルの高さを感じさせたようだ。ちなみに高森氏のインタビューでは、進藤がこれから取り組むべき課題についても語っている。

球速差のあるカーブに、フォーク。この2球種は、サイドに転向したばかりだからか、まだ安定感に欠ける。しかし、フォークには伸びしろがある。コントロールを気にして落としにいっているが、もっと引っ掛けるように腕を振りきれば、確実にキレを増すだろう。ストライクゾーンの左右を支配し、縦変化をマスターすれば、残るは前後だけ。緩急はのちにマスターするとして、まずは左右の精度を磨いて勝負するタイプのピッチャーになってもらいたい。 

出典:野球太郎 No.20(廣済堂出版) 

【今後の起用法】

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大卒社会人投手ということもあり、ドラフト8位とは言え即戦力として期待がかかる立場である。主な大卒社会人出身のサイドスロー投手をピックアップしてみたが、三上や秋吉、十亀といった投手は1年目からフル回転で活躍していた。アマチュア時代から目立った活躍をしていた三上や秋吉に比べると、進藤は実績が少なく、サイドスローに転向したのもまだつい最近の投手である。彼らのようにいきなりセットアッパーとして定着するのは難しそうだが、まずは比嘉や東條のようにロングリリーフ、便利屋として地位を築いていくことになりそうだ。

ただし、オープン戦阪神戦で5球投じた以外はセ・リーグ相手に投げる事はなかった。初見でなかなか進藤の独特の投球フォームやストレートの威力、変化球のキレといった特徴を見切るのは相当難しく、セ・リーグの各バッターが慣れるまである程度時間がかかるのではないか。まさに「ハマの秘密兵器」である。開幕カードであたるヤクルト・山田哲人バレンティンに対しても強気な投球が出来るか注目だ。

ベイスターズには加賀繁、藤岡好明、三上朋也、水野滉也と右のサイドスロー投手が数多く在籍しているが、それぞれタイプが異なる投手であり、進藤もインコースに「押し込む」ストレートと真っすぐの軌道から小さく曲がるスライダーを武器にする、他の投手にない特徴を持っている。高森氏が指摘するように、左右の精度を磨くことが出来たら、ドラフト8位からセットアッパーとして一気に新人王へ駆け上がる可能性は充分ありそうだ。

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