時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

あえて今、「筒香を三番で起用すべきか」考える。

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2010年のサッカーワールドカップ南アフリカ大会直前、ほとんどのサッカーファンは岡田武史率いる日本代表に何も期待していなかった。大会直前に行われたキリンカップで日本代表は宿敵韓国相手に2-0で敗北する。宿敵に勝って大会前に勢いをつけたいという思惑とは裏腹に、単調なパス回しに終始する日本代表の姿を見て絶望感を抱いた者は私だけでは無いはず。進退伺を出すほど大会前に追い込まれた岡田ジャパンだったが、南アフリカに乗り込んでも調子は上がらず、イングランドコートジボワールと立て続けに連敗した泥沼状態で大会初戦のカメルーン戦を迎えた。結論から言えば、韓国戦の敗戦から大幅なフォーメーションシステムを変更したことが功を奏して、前評判を覆す一次リーグ突破を果たしたのだが、今回の野球日本代表もあの時と同じような空気が流れていることを感じている。小久保裕紀率いる侍ジャパンは台湾リーグ選抜との壮行試合に臨むものの、台湾の若きスーパースター王柏融の前に呆気なく屈した。WBC一次ラウンドは3月7日から始まる。正直色々試すには期間が短すぎるが、小久保監督は打線の並びや守備シフト、投手起用のバリエーションを色々試してほしい。

そのため、「四番は筒香で固定する」と小久保監督が明言した時は正直不安だった。野球とサッカーは全く別のスポーツなので比較しても仕方ないのだが、本田圭佑をワントップ(というかゼロトップ)に起用したことが一次リーグ突破に繋がったように、短期決戦においてはあまり固定概念に囚われない方が好結果を生み出すような気がする。2009年のWBCでも最初は四番に稲葉篤紀を起用していたが、最終的には城島健司が四番に座っていた。昨日の試合を見る限り、筒香には何も問題なさそうだが、本戦では一番調子が良い選手が四番、というシンプルな考えの方が良いかもしれない。

ちなみに「四番は筒香で固定する」という発言はラミレス監督も去年からずっと言い続けている。ペナントレースにおいては打線の中核を担う四番打者をコロコロ替えるのは良くないという発想だろう。昨年の二冠王であり、間違いなくベイスターズの主砲である筒香嘉智の四番起用には何の問題も無いが、個人的には筒香を三番で起用しても面白いんじゃないかなと思っていた。かつては松井秀喜も三番を打っていたし、メジャーのチーム最強打者はほとんど球団が三番を任されている。今回は筒香を三番で起用することで生じるメリット、デメリットを考えてみた。

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筒香嘉智を三番で起用する場合、替わりに入る四番打者は必然的にロペスになる。当然、ロペスが昨年のような活躍を見せることが前提ではあるが、長打力に関しては筒香と遜色ないので、四番で起用しても問題ないだろう。

表にも書いたが筒香三番起用の最大のメリットは、出塁率の高い一、二番打者の後を打つことが出来るため、ランナーがいる状態で打席に入る可能性が高くなる事である。昨年、筒香はランナーがいない時の打率は.294だったが、ランナーが一人でもいると打率は.357まで上昇している。出塁率.356の桑原将志出塁率.359の梶谷隆幸の後に後ろに筒香が入ることで、相手投手の立ち上がりを崩すような展開も多くなるのではないかと期待出来る。

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昨年のベイスターズにおける打順別打撃成績を見ると、二番打者が打率.201と低迷していたことがわかる。一番多く二番打者としてスタメン起用されたのは石川雄洋で、次にエリアン、荒波翔と続いたが、シーズン通して二番は固定できなかった。このため、切り込み隊長の桑原が出塁しても二番で流れが止まる、といった場面は多かった印象がある。優勝したカープはほぼ全試合菊池涼介で固定されていたため、二番打者の打率が.309とリーグで一番高い打率だった。カープの場合、一番・田中広輔、三番・丸佳浩も好調だったのも大きかったが、上位打線の打率が高いほど打線の攻撃性が向上するのは間違いない。ラミレス監督が梶谷の二番起用にこだわっていたのはそういう理由が大きいためだろう。

また、打席数が四番と比べて確実に増えることも、筒香を三番に置くメリットである。三番なら初回に確実に打席が回ってくる。相手投手からしたら立ち上がりで筒香を迎えるのは嫌であり、その前を打つ桑原、梶谷も決してアウトが取りやすい打者ではないので一、二番に対しても慎重に攻めざるを得なくなる。昨年、ベイスターズはイニング中盤の五回、六回に得点を上げることが多かったが、初回から点が入ると試合展開も優位に進めることが出来るため、三番筒香で初回から先制点を狙っていきたい。

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一方、筒香を三番で起用することで必ずしも成功するとは限らない。チャンスで打席に回ってくる確立はおそらく四番の方があるだろう。こうなると「三番打者最強説」と「四番打者最強説」の論争になってくるが、得点圏に強い筒香を三番に置き、得点圏にそれほど強くないロペスを四番に置くことで却って打線が低迷する可能性もある。また、この打順は筒香の前を打つ桑原、梶谷、後を打つロペスが昨年のような成績を残すことで成り立つものであり、前後の打者が不調だと却って筒香との勝負が容易になる可能性がある。チームの顔とも言える主砲・筒香嘉智をあえて四番ではなく三番に置くべきか。リスクもあるが試してみても面白いのではないかと個人的には思っている。侍ジャパンにおいても三番筒香、四番中田翔なんて打順を一度試す価値はあるように思う。変にこだわりすぎて失敗する姿だけは見たくないものである。

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