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時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

【キャンプ注目選手】濱口遥大投手の分析と課題を考える。

隣の芝生は青く見えるというのは本当だ。ベイスターズキャンプと並行して阪神タイガース宜野座キャンプもじっくりも見ているが、投手陣の仕上がりが非常に早い印象を受ける。昨年10勝を挙げ、今年もローテーションの一角を担うであろう岩貞祐太ブルペンでの投球を見ているとエースの風格すら感じる堂々とした投球を行っている。セットアッパー候補松田遼馬、岩崎優はもう一皮剥ける必要があるかという印象を持っていたが、フリー打撃でマウンドに上がると、ストレートの威力が以前より増しており、成長を感じさせる投球を披露していた。野手陣に関しては糸井嘉男が出遅れていることもあり、全体的にまだこれからじっくり調整する、といった感じだろうか。ただし、北條史也中谷将大といった若手野手は打球の伸びが予想以上に増していた。ブレイク前の桑原将志がこんな感じだったな、という思いでフリー打撃の様子を見ていた。

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順調そうなキャンプを送っているタイガースにおいて、一際目立つ投手がいた。ドラフト2位で富士大学から指名された小野泰己である。西武・多和田信三郎の後を継ぎ、富士大のエース格としてMAX152キロのストレートを武器にしていた投手だが、キャンプでブルペンの投球を見ていると、全く無駄な動作のない綺麗な投球フォームで投げ込んでいた。解説者の湯舟敏郎「少年野球のお手本になるフォーム」と評していたが、まさにそんな印象の投手だった。ストレートの質もスピンが効いていて藤川球児楽天岸孝之、元中日・中里篤史のようなタイプといった感じだろうか。ブルペンでの投球を見ただけなので、実戦になると変化球が課題だったり、細かいコントロールに課題を残す可能性はあると思うが、いずれはタイガースの主力投手になる。そんな予感がする「ロマン枠」の投手である。ちなみに小野は北九州出身なので、今永昇太は小さいときから知っていたそうだ。

ベイスターズにもルーキーで目立つ投手がいた。神奈川大学からドラフト1位指名された濱口遥大である。思えば、ドラフト直後は小野にしても濱口にしても四死球率の悪さから「地雷」扱いされていた選手だった。しかし、ブルペンでの投球を見る限りポテンシャルの高さは相当あるように感じるし、前評判に反して一気に飛躍する可能性がある。そんなベイスターズのドラフト1位にして将来性豊かなサウスポー、濱口遥大投手を分析した。

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濱口遥大 1995年3月16日(21歳)

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【人 物】

佐賀県三養基郡基山町出身

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佐賀県の最東部に位置し、福岡県と県境にあたる町である。福岡市、久留米市鳥栖市などの周辺都市のベッドタウンとなっており、人口17,405人ののどかな町が濱口の生まれ故郷である。「丸幸ラーメン」という、九州のラーメンフリーク達に長年愛されている豚骨ラーメンのお店もある町である。ちなみに巨人・長野久義基山町出身なので、何かしら接点もありそうだ。二人とも、丸幸ラーメンに通いつめていたかもしれない。

三養基高校では140キロ左腕として注目を浴びたが、甲子園出場を果たせず神奈川大学に進学。1年生春から先発投手を任される活躍を見せ、2年生になるとストレートの球速も150キロをマークするようになりプロから注目を浴びるようになった。2014年ハーレム国際大会では、大学2年生としてはソフトバンク田中正広島・加藤拓也らと共に日本代表メンバーに選出される。この時クローザーとして活躍したのが山崎康晃であり、仙台大学3年生だった熊原健人柴田竜拓も代表メンバーだった。翌年の2015年ユニバーシアード大会にも故障で代表辞退した今永昇太の代役で日本代表入りを果たし、NPB若手選抜との壮行試合では先発投手に抜擢された。西武・山川穂高にホームランを浴びるなど、2回7安打2失点とプロの洗礼を浴びた結果に終わったが、140キロ後半のストレートで空振りを奪うなど、大器の片鱗を見せ2016年のドラフトの目玉投手との呼声がかかるまで成長する。ベイスターズ野手との対戦は無かったが、柿田裕太、平良拳太郎はこの試合にNPB選抜メンバーとして出場している。

4年生になった2016年も大学日本代表に選出され、アメリカ戦ではドラフト2位水野滉也とのリレーも実現。日本代表経験が豊富なだけに、プロに入っても繋がりが多そうだ。

【分 析】

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ドラフト1位の大卒左腕ということで、何かと今永昇太石田健大と比較される濱口だが、タイプ的には真逆の投手と思われる。今永にしても石田にしても、大学当時から外角低めの制球力が生命線の投手であり、速球、変化球、ボールの出処が見にくい投球フォームなど、投手としての総合力が非常に優れていた印象がある。濱口も最速151キロの速球と、落差の大きいチェンジアップを武器にしているが、ボールの強さと球速差で打者を抑えるパワーピッチャーであり、即戦力というよりは素材型。そんな印象の投手である。これは熊原健人や福地元春にしてもそうだが、ボールの強さで打者を抑えるタイプの投手は、コンディションが良い時は問題なく打者を抑える力量はあるが、シーズン通してコンディションを好調のまま維持するのは不可能なので、必ずどこかで壁に当たる。ストレートが走らない時、決め球のチェンジアップやスライダーが見切られた時にどういう投球ができるかが課題だろう。

とはいえ、3年間の成績で見ても、年々投球内容は改善され、奪三振率も2015年から2016年では大きく改善している(2015年:6.1%→2016年9.1%)。大学日本代表でチームメイトだった田中正からフォークの握りを教えてもらい、投球の幅が拡がったようだが、荒れ球とチェンジアップで強気に押しまくる投球スタイルから少しずつ変化も起こしているようである。

 そして濱口を評する際、避けても通れないのが制球力だろう。年々与四死球率は改善されているとはいえ三年間で一番良かった4年時でも4.8%である。プロと大学生では打者のレベルは比較出来ないため、奪三振率はさほど参考にならないと言われているが、投手の制球力そのものを示す与四死球率はプロ後も大きく変化することは無いと言われている。ちなみに与四死球率が4.8%前後の左投手は昨年で言えば、広島・中村恭平(4.6%)、西武・佐野泰雄(4.9%)、中日・小笠原慎之介(4.9%)といった辺りの投手が当てはまる。小笠原や佐野は比較的一軍で結果を残した方だが、基本的には与四死球率と成績は比例するため、四死球率4点台後半の投手は、ほとんどの投手が一軍に定着できていなかった。先発投手として起用されるかリリーフの役割を担うかは現時点では分からないが、セットポジションになるとストレートの球威も落ち、ランナーによってはチェンジアップを要求しづらいケースもあるだろう。どういう投球スタイルで挑むにしても、いかにして与四死球率を改善するかが濱口の成績を左右しそうだ。

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横で投げている今永とは対象的なスタイルであることがよく分かる動画である。大学時代のインタビューを見ると、投球フォームに関しては「いかに力感を無くすか」がテーマだったようで、その日の調子や気分に合わせてフォームも変えていたそうだ。淡々と投げ込む今永の真横で投げていたらどう考えても力むのは仕方ないだろうが、それでも自分の持ち味はしっかり出せているような印象である。

【これからの課題】

濱口には欲張りなところがあって、他人のいい部分を吸収するのはいいんですけど、それをマウンド上ですべて追いかけてしまうところがあります。田中正義のフォークや真っすぐを吸収したいのはわかるけど、全部の球種を一級品にしたがるよりは、自分のスタイルを確立させて、勝つためにどこを磨くかを考えてほしいですね。

(中略)

野球から離れると、気のいい田舎の子。ただ、マウンドに上がると視野が狭くなって、聞く耳を持たなくなります。でも、今年の日米大学野球で、仲間のために声を出す姿を見ると、精神的に成長したのかなと思います。

出典:野球太郎 No.20(廣済堂出版)

神奈川大学時代の監督、古川祐一氏が濱口投手を評した時のコメントである。本人のインタビューでも伺えるが、とにかく気が強く、打者をすべて抑えないと気がすまないところがあるというのが監督の評価だったようだ。奇しくもベイスターズ左腕軍団である今永昇太、石田健大、砂田毅樹、田中健二朗「とにかく気が強い」というイメージである。投手コーチも指導する際に気を使いそうだが、野球に対する貪欲さも持ち合わせているようで、今キャンプでも積極的に周りの先輩投手からアドバイスを受けているそうだ。彼らから吸収できる点はきっと多いだろう。

先程も書いたが、やはり今のスタイルではいずれ壁にぶち当たる時が来ると思う。その時にどうやって壁を壊すかが濱口投手が活躍するかどうかの分かれ道になるだろう。熊原健人は球種を増やすべくチェンジアップの習得を目指しており、福地元春ツーシーム系の球種を今年のキャンプから試している。新たな球種を習得しなくても、巨人・内海哲也のようにストレート主体から変化球主体のスタイルに変更する投手もいれば、楽天金刃憲人中日・小川龍也のようにサイドスロー転向で活路を見出すタイプもいる。プロ野球で速球派のサウスポーが大成するのはほんの一握りだといわれるが、個人的にはサウスポーが大成するか否かは、個人の素質はもとより良い指導者に恵まれるかどうかで大きく左右されるのではないかと思う。

 冒頭に書いた阪神のキャンプで、フリー打撃に登板していた際の投球フォームを一目見て解説者に調整不足を指摘されていた投手がいた。2014年のドラフト1位、横山雄哉である。横山も最速150キロの速球を武器に、鳴り物入りでプロ入りしてきたサウスポーだった。しかし、度重なる故障もあって2年間で一軍の登板試合はわずかに7試合。プロ通算2勝にとどまっている。昨年も肩の故障で戦線離脱していたが、故障も癒え一軍キャンプに抜擢。再起を図りたいシーズンになりそうだが、意気込みとは対象的にフリー打撃の登板では変化球主体の投球内容だった。ドラフト前に動画で見た横山は非常に躍動感のあった投球フォームが印象的だったが、今年のキャンプではどこかスケールダウンしたような印象を受けた。解説者からも苦言に近い指摘がされており、飛躍どころか今後の伸び悩みを危惧されているキャンプを送っているようだ。

プロの壁にぶつかり、自分のスタイルを変えても必ずしも成功するとは限らない。しかし、良い指導者に恵まれれば飛躍のきっかけを掴む時もあるし、悪い指導者に当たると陽の目を見ないままプロのユニフォームを脱ぐ結末となる。これは野球選手に限った話ではないと思うが、ちょっとしたきっかけでプロの成功、失敗は左右されるだろう。濱口にしても、横山にしても、良い指導者や手本になる投手は周囲に大勢いると思う。環境には恵まれていると思うので、飛躍のきっかけを掴んでほしい。

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