時計仕掛けのロマック

横浜DeNAベイスターズ応援ブログ。外野席ではなく内野席から見るようなブログ。

尾仲祐哉の分析と今後の起用法を考える。

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前回ブログを更新したのが3月3日なので、中7日空けての更新となる。先発投手ならローテーション通りである。しかし、更新をしばらく止めると閲覧者数が一気に減るというのがブログの恐ろしい所であった。更新していない間、筒香嘉智侍ジャパンの4番に座り、連日大活躍を見せていたのはご承知の通りである。ベイスターズオープン戦好調で、調整不足が心配されていた今永昇太オリックス戦で好投し、ルーキー佐野恵太も筒香不在を感じさせない活躍を見せている。ブログで取り上げたい話はいくらでもあった。何なら週末に観た「ラ・ラ・ランド」について、文字数の限界まで語りたいところである。でもあえて今回は、オープン戦で結果を残せなかった新人投手を取り上げたかった。ドラフト6位ルーキー・尾仲祐哉である。

キャンプでは小柄ながらキレのあるストレートが目を引き、キャンプ中盤ではすでに147キロをマーク。ロッテとの練習試合ではストレートとスライダーのコンビネーションが冴えて2回を投げて無失点。ラミレス監督も試合後「期待通りの活躍だった」と好投を評価するコメントを残し、首脳陣の評価はうなぎ登りだった。そして、満を持して先発マウンドに上った3月8日のオリックス戦。打者22人に対し92球を投げ、4回4失点という結果だった。被安打6、与四球4の内容以上に、マウンド上でもがき苦しむ姿が印象に残った。試合後、ラミレス監督は「先発投手として力がある」と前向きなコメントを残したが、好投を期待していたファンも、本人も、決して納得のいくマウンドでは無かっただろう。今後は2軍からチャンスを伺う事になりそうだが、きっと一軍マウンドで躍動する姿を何度も見ることになるであろう尾仲祐哉を分析した。

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尾仲祐哉 1995年1月31日(22歳)背番号29

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【人 物】

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福岡県北九州市出身

今永昇太と同じ街で生まれ、中学時代は共に軟式野球に打ち込んでいた。1学年離れているとはいえ、尾仲がいた則松中学校と今永がいた永犬丸中学校は隣の中学校なので、対戦した機会は何度かあったかもしれない。ちなみに阪神にドラフト2位指名された小野泰巳北九州市出身で、今永のことは幼い頃から知っていたそうである。小野も開幕一軍を狙える位置にいるだけに、同級生の同郷出身者には負けたくないところだ。その後、高稜高校に進学。悪役レスラー・デビル雅美の母校である。尾仲は2年生まで遊撃手のレギュラーだったが、投手に転向すると3年時にはエースの座を掴んだ。しかし、高校3年間で投手として実力を発揮することは出来なかった。最後の大会になる3年夏の県大会でも、尾仲擁する高稜高校は1回戦で姿を消している。濱口遥大にしても、笠井崇正にしても、高校時代は野球名門校では無かったので甲子園出場は叶わなかったが、2人共高校生の時点で球速は140キロを越しており、実力はプロスカウトも注目していた。しかし、尾仲に関しては球速は最速でも130キロ前半。おまけに夏の県大会は3年間全て1回戦敗退だった。それでも「高いレベルの野球を体験したい」という気持ちで大学のセレクションを受け、広島六大学リーグの強豪・広島経済大学へと進学が決まった。

ソフトバンク柳田悠岐を輩出した広島の強豪大学に入学するも、選手のレベルの高さに「ずっと球拾いをするだろう」と試合出場を叶えることすら半ば諦めていたようである。しかし、地道に動画で投球フォームを解析し、筋力トレーニングに励んだ努力が実を結び、1年秋リーグから先発投手としてマウンドに上がるようになる。このあたりは笠井と同じようなサクセスストーリーだが、尾仲は1年生の段階で50回を投げ、防御率0.89とエース級の活躍を見せた。球速も3年時には150キロに到達。4年春の全日本大学野球選手権では8回を投げて14奪三振と圧巻の投球を見せた。結局タイブレークの末に敗れることになったが、各球団のスカウトに尾仲祐哉の名を刻んだ事は間違いなかった。高校卒業時点ではMAX133キロだった投手が、MAX150キロのストレートとキレのあるスライダーを武器に奪三振ショーを繰り広げる事になるとは、おそらく本人も想像していなかっただろう。本格的に投手に転向したのが高校2年と遅いこともあり、まだまだ成長する可能性は秘めている。今後も楽しみな投手と言えるだろう。

【分 析】

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大学一年生の時から主力投手として活躍し、広島六大学リーグでは常に最高の成績を残していた。毎年投球回数以上の奪三振を記録し、2016年の奪三振率は12.60と圧倒的な成績を残している。与四死球率も毎年2点台を記録し、制球力も安定していたが、やはり大学とプロでは打者のレベルが違うため、ここまでの登板の印象ではやや荒れ球が目立っている。特に、外角からボールゾーンに逃げるスライダーは大学時代は空振りを狙える決め球だったが、オリックス戦ではことごとく見逃されていた。変化量が大きい分対応もしやすいといったところか。

投球スタイルとしては先発時は平均140キロ中盤~後半まで計測するストレートを軸に好調時はプロでも空振りが取れるほどキレがある縦スライダー、カットボール、フォーク、チェンジアップといった球種で打者を強引に抑える投球である。練習試合ロッテ戦やオリックス戦でもたびたび内角を強気に攻める投球が印象的だった。ストレートは綺麗な軌道をしており、手元でビュッと伸びる感じというか、ストレート系に強い打者でもゾーンに決まれば差し込まれるだけの威力はある。インステップ気味で腕の振りの速さが特徴的なフォームだが、対戦打者からするとタイミングが合わせやすそうな印象がある。自分が打者なら手元で伸びてくるストレートではなく時折甘いコースに入ってくるスライダーなどの球種に狙いをつけて打つだろうが、尾仲の場合チェンジアップという球速差を出せる球種も持ち合わせている。中継ぎ投手として起用するなら大学時代と同じようにストレート、スライダーといった球種を軸にしていけば打者を抑える力量は充分あると思うが、先発投手として起用するならチェンジアップやカーブといった球種を磨いたり、カットボールツーシームといった球種でもストライクを狙えるようになることが必要になっていきそうだ。

【今後の起用法】

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3月8日の神戸は雪もちらつく極寒の一日だった。最高気温は9.1℃。日中でもダウンジャケットを着ていないと凍える球場でのプロ初先発のマウンドだっただけに、結果を残せなかったのは仕方ないと言えば仕方なかった。尾仲の場合、腕の振りの速さも投球に関わる重要な要素だが、この日はストレートの球速も140キロ前半だった。これだけ寒いと、指の感覚も握力も本調子では無いだろうから、オリックス戦の投球だけで評価するのは少し尚早かもしれない。とはいえ、本人にとってもプロで活躍するには課題がいくつか見つかった登板にはなったのではないか。

ちなみに身長173センチと小柄な投手だが、プロで尾仲と同じぐらいの身長で右の先発投手となると、楽天美馬学(169センチ)、ヤクルト・小川泰弘(171センチ)オリックスのルーキー山岡泰輔(172センチ)ぐらいしかいない。小川はダイナミックな投球フォームで身長を感じさせない投球スタイルだが、尾仲や山岡が先発投手として活躍するには、前例を覆すだけの努力が必要になってくるかもしれない。右の中継ぎ投手で言えば、日ハム・谷元圭介(167センチ)、武田久(170センチ)、楽天・福山博之(172センチ)あたりが尾仲の身長に近いが、いずれも強気の投球スタイルがウリの投手で、尾仲の現状の投球スタイルとも合っている。そのため、尾仲の場合、中継ぎ投手として活躍するほうがイメージしやすいのかもしれない。ベイスターズの先発事情を考えると、右の速球派タイプである尾仲が先発として活躍すると戦力として大きいが、プロ1年目から活躍を狙うとなると中継ぎ投手として起用するほうが可能性は大きい気がする。このあたりは首脳陣も見極めが重要になってくるので、次回2軍戦での先発登板は尾仲の将来を決める大きなターニングポイントになっていきそうである。

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佐野恵太の分析と課題を考える。

正直、無理はない。ドラフト直前に発売された野球太郎には、彼の名前はどこにも掲載されていなかった。ドラフト9位でベイスターズに指名された時、アマチュア野球を一年中観戦しているスポーツライター小関淳二氏は彼の特徴について、「リードオフマンタイプ」と評していた。桜井俊貴から打ったホームランを見てわかるように、彼は決して「リードオフマンタイプ」では無い。彼はどういったタイプの選手なのだろうか。残念ながら選手名鑑を見ても特徴は載っていなかった。明治大学時代は主軸を任されており、沖縄キャンプではフリー打撃で気持ちよく打球を飛ばしていたので、いわゆるスラッガータイプだと思っていたが、それだけでは無さそうだ。きっと高橋由伸監督も気になるところであろう。今回は84番目にドラフトで指名された左のスラッガー候補に注目してみた。

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佐野恵太 1994年11月28日

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【人 物】

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岡山県岡山市出身

広陵高校明治大学という経歴を持ったプロ野球選手は結構多い。佐野の1学年上には日ハムにドラフト1位で指名された上原健太がいた。他にも、広島・上本崇司、野村祐輔も佐野と同じ経歴でプロ野球の道を歩んでいる。ちなみに佐野は中学時代、「倉敷ビガーズ」という中学硬式野球チームに所属していたが、野村も同じチームに所属していた。倉敷ビガーズにとっては佐野が2人目のプロ野球選手輩出にあたる。当時は投手兼三塁手として活躍していたようで、2009年にはAAアジアチャレンジマッチ日本代表に選出されている。この時はソフトバンク・笠原大芽横浜高校時代プロ注目の選手だった山内達也が日本のエースだった。

広陵高校進学後は様々なポジションを経験する。2年生春から試合出場が多くなると、主に遊撃手と二塁手を任されるようになった。元々俊足巧打の1,2番タイプの選手だったようだが、チーム事情もあり強肩を買われて2年生秋からは捕手にコンバートされる。小関氏が「リードオフマンタイプ」と評していたのは、きっとこの時のイメージがあったからだろうと推測される。セカンドまで送球は1.88秒をマークしており、強肩捕手として注目されていたが、捕手としてのミットさばきやリード面に関しては、それほど評価が高くなかったようである。いわゆるユーティリティプレイヤーとして広陵時代は活躍していたが、県大会3回戦進出が最高成績で、甲子園出場は惜しくも果たせなかった。プロ志望届も提出せず、広陵OBが数多く在籍していた明治大学へ進学する。

明治大学では2年生から試合出場を果たし、3年生で一塁手のレギュラーを掴むようになる。秋リーグでは主軸打者として打率.277・本塁打2本・打点11の成績を残しベストナインに輝いている。この活躍について、本人は「1日1000スイングのノルマをこなしてスイングスピードにこだわった事」「体重が大学入学時から8キロ増え、長打力が身についた事」が大きな要因だったとインタビューで答えている。また、仲間に恵まれていたことも、佐野が成長する大きな要因だった。同級生にあたる中日・柳裕也、ヤクルト・星知弥、オリックス・中道勝士らの活躍に刺激を受け、一学年先輩には「雲の上の存在」と評していた阪神・高山俊と今年のドラフト候補である日立製作所・菅野剛士がいた。特に高山とは練習パートナーとして常に付き添っており、同じ左打者として色々アドバイスを受けていたそうである。その甲斐あってか、4年生になった2016年日米大学野球の代表候補50名の中に佐野も選出された。日米大学野球の日本代表には、濱口遥大、水野滉也といった後にベイスターズでチームメイトになる選手も選ばれており、代表合宿では紅白戦も行われていた。ちなみに濱口とも一打席対戦しているが、軍配は濱口に上っている。最終的には日本代表には選ばれなかったが、代表合宿で貴重な経験を得たことがプラスになったのか、大学最後の秋季リーグ戦では自己最高の打率.325をマークし、神宮大会では関西大学との一戦で右翼席中段に飛び込む2ランを放ちチームの勝利に貢献する。この時の打球も打った瞬間ホームランとわかる打球だった。伯父にあたる佐々木誠のような大舞台に強いバッティングはきっとプロでも見ることが出来るだろう。

【分 析】

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大学過去三年間の成績を見ると、年々試合数が増えるに連れて打撃成績も改善されていることがわかる。特に注目すべき点は、出塁率がここ二年間で大きく上昇している所である。数値が低いほど四死球を選ぶ(選球眼が良い)打席が多い割合を表す四死球率は2016年6.9%となっている。この数値は、筒香嘉智(6.45%)中日・平田良介(6.86 %)、阪神鳥谷敬(7.11%)、広島・丸佳浩(7.76%)といった、セ・リーグの中でも選球眼に優れていると言われる選手と比較しても良い成績を残していると言える。この点に関しては、本人は4年秋の神宮大会前のインタビューでこう答えている。

――今シーズン(4年秋季リーグ戦)は四球が10個でした
ボールボールで攻められて変化球が多くなって、東大戦くらいで今シーズンの攻め方は変わっているなと思ってました。フォアボールで出ても自分の中では全然オッケーって感じでした。特に後ろの人たちが調子良かったので何とか塁に出れるようにと。見極めできてたのはよかったです。でも途中から攻め方変わってるなと変に意識してしまって、手を出しづらくなってしまう時期もありました。今までやってきた積極的に打ちにいくというスタイルはずっと変えないように意識しながら打ちにいって、ボールは見逃すという感覚で打席に立たないといけないなと途中で改めて強く思って、シーズン通して打席にはいれたかなと思います。

引用:硬式野球部 (29)神宮大会前インタビュー 牛島将太、佐野恵太…明大スポーツWEB 明大スポーツ-明治大学のスポーツ新聞

元々積極的に打つタイプだったが、後を打つ打者も好調だったのでボール球を見逃す余裕が出てきた、という感じだろうか。練習試合やオープン戦の打席を見ていても、ボールゾーンの球は手を出さず、ストライクゾーンに甘く入った球をしっかり見極めてスイング出来ている。桜井俊貴から打ったホームランも、2ボールと打者有利のカウントに持ち込んでストライクを取りに行った所を狙いすまして打った印象である。また、数値が高いほど三振しにくい打者と評価される三振率は、最終学年で12.2%とこちらも大きく改善された。さすがにプロと大学生では投手のレベル差があるので、プロ1年目はそれなりに空振り三振を重ねたり、変化球に対応できずストライクを見逃しするケースは多いだろうが、巨人戦で田原誠次から二塁打を打った打席のように、ミート技術も優れていそうなので、ゆくゆくは二割後半~三割近い打率を目指せるだけの打撃センスは充分兼ね備えた選手だろう。

守備に関しては、元々二遊間を守っていたこともあり、一塁手としてはフットワークは軽い方だと考えている。大学通算63試合に出場してエラーはわずか2つという点を見ても、一塁守備に関しては問題なさそうだ。ただしベイスターズではロペス一塁手として不動の地位を固めているだけに、一塁手のレギュラー獲得は難易度が非常に高くなっている。そのため、しばらくは外野手としての適正を判断しながら起用されることになりそうだ。広陵時代は強肩として名を馳せただけに、コンバートが上手く行けば出場機会は大幅に増えるだろう。いずれは外野手以外でも、二塁手三塁手としての起用も検討した方がいいかもしれない。なお、足もそれなりに速いようだが、大学4年間で盗塁は0である。

【今後の課題】

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以上の点から、佐野恵太がベイスターズで一番タイプ的に近いのは宮崎敏郎だと考えている。宮崎もプロ1年目から猛打賞を放つなど、新人ながら打撃センスに溢れた選手だった。打撃技術も高い宮崎だが、昨年5番打者としてレギュラーポジションを掴んだ最大のポイントは、ボールを見極める選球眼に優れ、三振も少ないという特徴だった。この点は佐野も共通点が多いことから、いずれは宮崎のように中軸を任される選手になっていくことが期待される。

打撃に関しては、ストレートを上手く逆方向に打ち返すなど、ミート技術に優れている印象がある一方で、チェンジアップなどのブレーキング系の変化球に対しては体勢が崩されたり、空振りが目立つ打席があった。当然プロ1年目なので仕方ないといえば仕方ないが、いずれミスショットが減っていけばプロでも打率は残せるだろう。

守備は今のところ主に右翼手を守って問題なくこなしているが、内野はどのポジションも経験があるが、外野手はアマチュア時代そんなに経験ないはずである。そのため、プロ1年目の今年は外野守備を安定させることからスタートすることになりそうだ。

宮崎もルーキーイヤーの2013年、プロ初本塁打含む2本塁打で打率も.250とそれなりの結果は残していたが、出場試合は38試合に留まっていた。当時は二塁手三塁手を守っていたが、守備に関しては壊滅的な所からのスタートだったと記憶している。怪我や不調に悩まされた時もあったが、守備が安定していくにつれて出場試合は確実に増えていった。ラミレス監督からルーキーMVPに選ばれ、「明日開幕なら開幕一軍は間違いない」と言わしめた佐野だが、中途半端に代打で起用するよりは守備機会を増やす方針の方がいいかもしれない。ドラフト最下位指名というスタートラインから何人ごぼう抜き出来るか。全員ぶち抜いたら偉大な伯父を超える名選手になっている事だろう。

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あえて今、「筒香を三番で起用すべきか」考える。

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2010年のサッカーワールドカップ南アフリカ大会直前、ほとんどのサッカーファンは岡田武史率いる日本代表に何も期待していなかった。大会直前に行われたキリンカップで日本代表は宿敵韓国相手に2-0で敗北する。宿敵に勝って大会前に勢いをつけたいという思惑とは裏腹に、単調なパス回しに終始する日本代表の姿を見て絶望感を抱いた者は私だけでは無いはず。進退伺を出すほど大会前に追い込まれた岡田ジャパンだったが、南アフリカに乗り込んでも調子は上がらず、イングランドコートジボワールと立て続けに連敗した泥沼状態で大会初戦のカメルーン戦を迎えた。結論から言えば、韓国戦の敗戦から大幅なフォーメーションシステムを変更したことが功を奏して、前評判を覆す一次リーグ突破を果たしたのだが、今回の野球日本代表もあの時と同じような空気が流れていることを感じている。小久保裕紀率いる侍ジャパンは台湾リーグ選抜との壮行試合に臨むものの、台湾の若きスーパースター王柏融の前に呆気なく屈した。WBC一次ラウンドは3月7日から始まる。正直色々試すには期間が短すぎるが、小久保監督は打線の並びや守備シフト、投手起用のバリエーションを色々試してほしい。

そのため、「四番は筒香で固定する」と小久保監督が明言した時は正直不安だった。野球とサッカーは全く別のスポーツなので比較しても仕方ないのだが、本田圭佑をワントップ(というかゼロトップ)に起用したことが一次リーグ突破に繋がったように、短期決戦においてはあまり固定概念に囚われない方が好結果を生み出すような気がする。2009年のWBCでも最初は四番に稲葉篤紀を起用していたが、最終的には城島健司が四番に座っていた。昨日の試合を見る限り、筒香には何も問題なさそうだが、本戦では一番調子が良い選手が四番、というシンプルな考えの方が良いかもしれない。

ちなみに「四番は筒香で固定する」という発言はラミレス監督も去年からずっと言い続けている。ペナントレースにおいては打線の中核を担う四番打者をコロコロ替えるのは良くないという発想だろう。昨年の二冠王であり、間違いなくベイスターズの主砲である筒香嘉智の四番起用には何の問題も無いが、個人的には筒香を三番で起用しても面白いんじゃないかなと思っていた。かつては松井秀喜も三番を打っていたし、メジャーのチーム最強打者はほとんど球団が三番を任されている。今回は筒香を三番で起用することで生じるメリット、デメリットを考えてみた。

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筒香嘉智を三番で起用する場合、替わりに入る四番打者は必然的にロペスになる。当然、ロペスが昨年のような活躍を見せることが前提ではあるが、長打力に関しては筒香と遜色ないので、四番で起用しても問題ないだろう。

表にも書いたが筒香三番起用の最大のメリットは、出塁率の高い一、二番打者の後を打つことが出来るため、ランナーがいる状態で打席に入る可能性が高くなる事である。昨年、筒香はランナーがいない時の打率は.294だったが、ランナーが一人でもいると打率は.357まで上昇している。出塁率.356の桑原将志出塁率.359の梶谷隆幸の後に後ろに筒香が入ることで、相手投手の立ち上がりを崩すような展開も多くなるのではないかと期待出来る。

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昨年のベイスターズにおける打順別打撃成績を見ると、二番打者が打率.201と低迷していたことがわかる。一番多く二番打者としてスタメン起用されたのは石川雄洋で、次にエリアン、荒波翔と続いたが、シーズン通して二番は固定できなかった。このため、切り込み隊長の桑原が出塁しても二番で流れが止まる、といった場面は多かった印象がある。優勝したカープはほぼ全試合菊池涼介で固定されていたため、二番打者の打率が.309とリーグで一番高い打率だった。カープの場合、一番・田中広輔、三番・丸佳浩も好調だったのも大きかったが、上位打線の打率が高いほど打線の攻撃性が向上するのは間違いない。ラミレス監督が梶谷の二番起用にこだわっていたのはそういう理由が大きいためだろう。

また、打席数が四番と比べて確実に増えることも、筒香を三番に置くメリットである。三番なら初回に確実に打席が回ってくる。相手投手からしたら立ち上がりで筒香を迎えるのは嫌であり、その前を打つ桑原、梶谷も決してアウトが取りやすい打者ではないので一、二番に対しても慎重に攻めざるを得なくなる。昨年、ベイスターズはイニング中盤の五回、六回に得点を上げることが多かったが、初回から点が入ると試合展開も優位に進めることが出来るため、三番筒香で初回から先制点を狙っていきたい。

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一方、筒香を三番で起用することで必ずしも成功するとは限らない。チャンスで打席に回ってくる確立はおそらく四番の方があるだろう。こうなると「三番打者最強説」と「四番打者最強説」の論争になってくるが、得点圏に強い筒香を三番に置き、得点圏にそれほど強くないロペスを四番に置くことで却って打線が低迷する可能性もある。また、この打順は筒香の前を打つ桑原、梶谷、後を打つロペスが昨年のような成績を残すことで成り立つものであり、前後の打者が不調だと却って筒香との勝負が容易になる可能性がある。チームの顔とも言える主砲・筒香嘉智をあえて四番ではなく三番に置くべきか。リスクもあるが試してみても面白いのではないかと個人的には思っている。侍ジャパンにおいても三番筒香、四番中田翔なんて打順を一度試す価値はあるように思う。変にこだわりすぎて失敗する姿だけは見たくないものである。

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宜野湾キャンプ総括2017

デッドボールを受けたような衝撃だった。ベイスターズが南国沖縄で巨人相手にオープン戦を戦っている頃、私は雪山で人生初のスノーボードに挑戦していた。2月25日の沖縄の最高気温は26.2℃だったそうである。沖縄ではTシャツ一枚でのんびり野球見ながらビールでも飲めたら最高だったかもしれないが、私はヒートテック2枚着てダウンジャケット着ても身体が底冷えするするぐらい寒い環境にいた。「イメージトレーニングがしっかり出来れば、どんなプログラムでも出来る」羽生結弦はかつてインタビューで答えていたが、どれだけ事前にスノボのイメージトレーニングをしても、初挑戦でいきなりゲレンデを華麗に滑る才能は私には無かった。結果、転倒した際の姿勢が悪く左肩を強打。侍ジャパンの壮行試合で内川聖一が負った怪我と同じである。全治約1週間。少しずつ治ってはいるが、自分が投手なら開幕ローテーションは絶望的である。

さて、2月も終わり、ベイスターズのキャンプも無事に終了した。正捕手戸柱恭孝エリアンといった主力選手の怪我もあったが、全体的には大きな故障もなく充実したキャンプだったと言えよう。2月26日に行われる予定だった日ハムとの練習試合は雨で中止になったものの、天候は安定していて雨天中止は結局この1試合だけだった。実戦機会も多く設けられたことから、新人選手や新戦力を試す機会も余裕があった。数少ないチャンスを活かして首脳陣にアピール出来た選手、逆に、今年にかける思いは伝わってきたがチャンスを活かせなかった選手もいた。これから先は結果が全てのふるい分けが始まっていく。開幕一軍入りに向けて選手のアピールに期待したい。

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対外試合は9試合行われて6勝3敗と勝ち越した。あまりハッキリと覚えていないが、去年一昨年と負け越していた記憶があるので、対外試合で勝ち越したのは久しぶりではないかと思う。今年は新外国人選手と新人選手の活躍が特に目立ったキャンプだった。キャンプ前の評判ではそれほど評価が高くなかったシリアコ、ウィーランドは実戦を通して結果を残し、クライン、パットンは前評判通りの活躍を見せた。ラミレス監督が外国人枠にいい意味で悩んでいると語っていたが、これはキャンプで得た大きな収穫と言えるだろう。また、新人選手もドラフト2位水野滉也が出遅れたものの、濱口遥大、尾仲祐哉、進藤拓也、狩野行寿、佐野恵太は無事にキャンプを完走することが出来た。高卒ルーキー細川成也、松尾大河も将来に期待が出来そうな活躍を見せ、育成枠・笠井崇正は首脳陣に大きなインパクトを残す事ができた。このまま順調に行けば、開幕前の支配下登録入りも狙える位置にいると言っていいだろう。田中浩康、平良拳太郎オープン戦で活躍し、新戦力に関しては100点満点のキャンプを送ったのではないかと思う。

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キャンプで特に目立つ活躍をした選手11名をピックアップした。現状、ベイスターズの抱える課題として

①山口俊の抜けた先発投手の穴を誰が埋めるか

山崎康晃、パットンどちらにクローザーを任せるか

③須田幸太、三上朋也、田中健二朗らの負担を減らす中継ぎ投手の発掘

二塁手三塁手のレギュラー争い

⑤筒香嘉智の後継者になる長距離砲の育成

といった5つの課題が考えられている。このキャンプで課題が一つでも多く解決できればいいが、

①に関しては、新外国人のクライン、ウィーランドが圧巻の投球を見せたことで先発投手に関する不安は少し和らいだといったところか。今永昇太、石田健大ら主力投手はまだ6~7割の調整段階といったところだが、今後はオープン戦でしっかり結果を残すことが求められる。また、濱口遥大、平良拳太郎も練習試合で好投を見せ、オープン戦でも先発機会を与えられそうだ。5番手6番手争いも注目である。

②に関しても、山崎康晃、パットンどちらも対外試合では問題ない投球を見せたことで現段階ではどちらがクローザーになるかは確定していない。オープン戦の結果次第になりそうだ。

③に関しては実戦を通して大きな収穫があったのではないか。ルーキー尾仲祐哉、進藤拓也、笠井崇正が好投を見せ、現段階では3人共開幕一軍入りを充分狙える立ち位置にいる。平田真吾、野川拓斗も好調で、二軍で調整を続ける藤岡好明、小杉陽太、加賀繁、大原慎司らもうかうか出来ない状況になった。ブルペン陣の争いが熾烈になれば須田や三上にアクシデントがあったときでも対応できるため、若手投手の台頭に期待したい。

④では白崎浩之シリアコ三塁手争いで一歩リードしている形か。宮崎敏郎もコンスタントにヒットを重ねているが、二塁手で先発起用される試合もあり、開幕は二塁手でスタートする形になるかもしれない。その二塁手田中浩康が巨人戦で3打数2安打と活躍し、小技でも安定感を見せてアピールしている。エリアンは故障で一歩後退したが、代わりに石川雄洋が昇格し、柴田竜拓も一軍で数少ないチャンスを得ようと奮闘している。宮崎がすんなりと二塁手のレギュラーポジションに収まることはなさそうだ。

最後に⑤の課題は、細川成也、網谷圭将という10代の長距離砲が目立ったことが大きな収穫だったと言える。今後、筒香がメジャー移籍することになってもこの二人が中心となって打線の中軸を担う役割を果たすことになりそうだ。長打力に魅力がある青柳昴樹、山本武白志、白根尚貴らはこのキャンプで存在感を見せられなかったが、下からの突き上げに何も感じていないはずがない。細川、網谷に簡単にレギュラーを渡さず2軍からチャンスを狙ってほしい。

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一方、先発として期待されていた三嶋一輝、飯塚悟史らは紅白戦で炎上し、開幕ローテーション入りは厳しい状況になった。砂田毅樹、熊原健人も練習試合では先発起用されているが、先発投手としてはまだ課題はありそうだ。砂田に関しては、キャンプ、オープン戦で起用法を考えるとラミレス監督が明言していたが、今の段階では中継ぎとして起用される可能性が高い。とはいえ、野川や平田といった選手が好調なだけに、実績はあるとはいえ、そう簡単に開幕一軍には入れないだろう。

戸柱、山下、エリアンに関しては開幕にはギリギリ間に合うかもしれないが、調整不足は否めない形になる。まずはじっくり怪我の治療を行い、オープン戦終盤から一軍に合流出来るようにしてほしいところだ。

トータルで見ると、ベイスターズの抱える5つの課題に対して、いくつか目処がたったような印象を受ける、収穫の多いキャンプだったと言えるのではないか。ほぼ100点と言いたいところだが、三嶋や砂田といった先発ローテを期待される選手がぴりっとしなかった所、まだまだ凡事徹底というか、内野守備連携や犠打、走塁面でミスも目立つ場面もあったので、点数としては90点ぐらいと考えている。オープン戦では実戦を通して残り10点を改善していけたら開幕ダッシュは充分可能だろう。

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オープン戦の前に予習しておく去年のジャイアンツ戦

キャンプのMVPには嶺井博希が選ばれた。前半戦のMVPに挙げた嶺井だったが、その後の対外試合でも結果を残して首脳陣にいいアピールが出来ていた。対外試合では嶺井、高城、黒羽根がそれぞれチャンスを与えられていたが、韓国代表との試合では途中出場ながら逆転の決勝タイムリーを放つなど持ち前の勝負強さも見せた。元々打撃では評価が高かった嶺井だが、減量して臨んだ秋季キャンプから捕球、送球面でも成長が見られたことが大きかったのだろう。本人も正捕手奪回に向けて手応えを掴んでいるはず。おそらくオープン戦では高城、黒羽根と比較して優先的に起用されるはずである。今後は守備、盗塁阻止といった点がよりクローズアップされると思うが、結果を残して首脳陣にアピールし続けてほしい。

headlines.yahoo.co.jp

早いもので2月25日はオープン戦が開幕する。今年は那覇で巨人とのオープン戦が組まれているが、すでに両チームの先発投手とスタメンが発表されているので紹介したい。

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対して巨人は

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と発表されているが、日本代表に選ばれた坂本勇人の代役になるショートが一体誰になるのかわからなかったので守備位置は省いた。名前だけ見るとほぼ主力組といった感じなので、平良、砂田にとってはアピールの場としては申し分ない。結果を残した方が開幕ローテーションにぐっと近付くので、好投してもらいたい。

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昨年も巨人と那覇オープン戦を戦ったが、その時は巨人勢の活躍が目立ち、ベイスターズはほとんど活躍出来なかった。

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ルーキー重信慎之介が走塁とファインプレーで観客を沸かし、ギャレットがこの日もタイムリーツーベースで勝利に貢献した。この試合、三嶋も内角を突く好投で期待感があったが、ペトリックは球威に欠いていた印象があったと記憶している。今年はリベンジしていきたいところだ。

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【2月23日】vs千葉ロッテマリーンズ(練習試合)

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【試合前の展望】

ベイスターズ先発は濱口遥大。前回登板のハンファ戦では2回を投げて1安打無失点の内容。140キロ後半を計測していたストレートに力があり、チェンジアップも落差があったため、どちらの球種でも打者を抑え込むピッチングが出来た。前回登板のようなストライク先行の投球ができればロッテ打線も抑え込むことが出来るだろう。その後は好投を続けるルーキー尾仲、野川が登板。韓国代表戦では進藤、平田らが結果を残すピッチングを見せた。中継ぎ枠を巡る争いも激化しているだけに、生き残りたいところだ。その後を受ける三上、田中健、須田は調整登板で各1イニングを予定している。ロッテは角中がスタメンを外れたものの、打撃好調な平沢、鈴木大地らがスタメンに名を連ねた。特に平沢はラミゴ戦でホームランを放つなど長打力が増した印象。甘い球が狙われないように気をつけたい。

昨日の韓国代表戦では嶺井の逆転タイムリーでなんとか勝利した。しかし、何度も得点圏にランナーを置きながらなかなか得点が奪えない攻撃が続き、快勝とは言えない試合内容だった。ロッテは昨年6勝を挙げた唐川侑己が先発。調子が良い時の唐川は手がつけられない投球をするが、脆さもある投手である。被打率.353のストレートに狙いを絞っていけば攻略は出来そうだ。強風ということもあり、乱打戦の予感がする今日の試合である。

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濱口は3回を投げて3失点。制球に苦しんだというか、ロッテ打線に変化球の軌道を見極められていたという印象か。強風の中かなり慎重に投げていたが、3回に先頭打者を歩かせてしまい、その後は内野守備の乱れ(グラウンドに魔物がいたといってもいいが)もあり先制点をロッテに与えてしまう。清田に対しては甘く入った球をしっかり狙い打たれた。風に流された打球に桑原もダイブするがさすがに追いつけなかった。

その後を受けた尾仲はストレートに力があり、ロッテ打線の打球が前に飛ばない場面もあった。2回無失点と結果を残し、流れも少しずつDeNAに寄せていけるかと思っていたが、この日の唐川、二木には集中力があった。唐川は低めにボールを集めることが出来、ランナーを背負っても落ち着いた投球で4回無失点の好投。変化球が多彩で、2巡目になっても打ちあぐねる場面が多かった。唐川降板後に登場した二木はストレートとフォークのキレがあった。結局、流れはロッテへと傾いて今まで好投を続けていた野川もロッテ打線に捕まり1回4失点と苦い内容になった。主力中継ぎ陣の須田、田中健、三上に関しては順調そうな仕上がりが確認できたので収穫もあったが、キャンプで徹底している「凡事徹底」という点では、この試合では上手く機能出来ていなかった。なお、関根が有吉からデッドボールを受けたが軽症で済みそうとのことである。

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【濱口遥大】△

3回を投げて3失点。プロの洗礼を浴びた形になった。ハンファ戦では147キロを計測したストレートも、この日は動画で見る限り140キロ前半ぐらいのような印象である。2回までは四球でランナーを出しながら粘り強い投球をしていたが、3回の先頭打者・田村龍弘に対して外角際どいコースに投げ込むもなかなか審判の手が上がらず歩かせてしまう。次の打者の加藤翔平の当たりが三塁線を破る二塁打になり、中村奨吾の内野ゴロで失点するものの、全体的には粘り強く投げていた。清田育宏には完璧に捉えられたが、その後のパラデス、ダフィーはきっちり抑えることが出来た。あのままズルズル失点を重ねる投球をしていたら不安もあったが、とりあえず課題も収穫もあった登板になったのではないか。

ラミレス監督の試合後の発言はまだ見ていないが、おそらく次回も先発登板の機会は与えられるだろう。まずはハンファ戦のようなストレート、チェンジアップのキレを取り戻すことが鍵になりそうだ。

【尾仲祐哉】◯

2回を無失点の好投で結果を出した。手元で伸びるストレートに力があり、スライダーの軌道も打者の空振りを誘う切れ味があった。ストレートに強い細谷圭が相当差し込まれているのだから、打者の体感速度はかなり早そうだ。ゆくゆくは8回9回を投げるようなセットアッパー、クローザーを目指せる投手だと思うが、粘られると時々甘い球が真ん中に集まる傾向もありそうだ。今の段階ではビハインドでの登板が中心になるだろうが、この試合の登板で首脳陣の評価も上がったのではないか。オープン戦も一軍帯同濃厚で、開幕一軍を狙えそうな位置にいると言っていいだろう。

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【2月22日】vs 韓国代表(練習試合)

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【試合前の展望】

韓国先発はベイスターズファンにはおなじみのヤン・ヒョンジョン。奇しくもベイスターズの先発はフィル・クラインである。ヤン獲得失敗によって急遽獲得したクラインだが、ここまでの評価は上々で、前回登板もストレートを軸に中日打線を全く寄せ付けない仕事ぶりを見せつけた。その後を受けるウィーランド、進藤らもストレートを軸としている投手が続くので、韓国打線の目がストレートの速さに慣れないよう配球パターンを変えたり、ゾーンを散らしながら投球出来るかが鍵になりそうだ。

打線は筒香が日本代表合宿参加のためロペスが4番に入り、レフトには乙坂が入った。強い当たりが出てきたシリアコやロペスの他、打撃絶好調の嶺井らで得点出来れば理想である。ヤンも韓国を代表する好投手なので投手戦になると予想される。先制点が取れれば試合を優位に進めることができそうだ。

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予想通り投手戦にはなったが、制球に苦しむクラインの後を受けたウィーランドの好投が試合の流れを上手く作ったことでベイスターズが1点差の試合を制した。初回の攻撃は桑原ヒット→田中浩バント→梶谷タイムリーと、燃えよドラゴンズの歌詞のような理想的な得点だった。その後はお互いチャンスを作るもなかなか好機で一本出ず、8回裏に嶺井が逆転タイムリーを放つまでベイスターズは9残塁。試合には勝利したが、課題もあった試合だった。

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【ウィーランド】◎

3回を9人で片付け無安打無失点と完璧な投球。日本代表にも言えることだが、データが乏しい相手投手にテンポよくストライク先行で投げられると非常に苦しい試合展開になる。この試合のウィーランドは低めの制球が良く、クラインからホームランを放った7番打者から三振を奪うなど申し分ない内容だった。次回はもう少し長いイニングを先発マウンドで見ることになりそうである。

平田真吾】◎

ここまで対外試合で未だ無失点。笠井崇正進藤拓也といった右の中継ぎ投手のライバルも好調だが、この試合の平田の投球は見ていて安心感があった。投球フォームにタメがあり、球威のあるストレートにも威力があった。平田の課題は好調なコンディションを維持できるかどうか。この先も登板機会は多く与えられるだろうが、結果を残し続けていけば開幕一軍入りを狙えるポジションにいると言ってもいいだろう。

【クライン】◯

3回を投げてホームラン一発を浴び2失点の結果だった。ここまで完璧な投球を続けていたので、韓国打線に苦戦したことはかえって良かったと思っている。試合の動画を改めて見てみたが、ウィーランドと比較してもかなりマウンドを気にして投球している様子が伺えた。マウンドの傾斜や土の硬さが上手く合わなかったのかもしれない。バットを折るなど球威で抑え込む場面もあり、コンディション悪いなりに試合は作ったのではないか。

【シリアコ】◯

ヤクルト戦のホームランからそれまでとは別人のような活躍を見せている。5番サードのスタメン起用は自身で掴み取ったと言っていいだろう。見ていて改めて思うが、バットスイングが早い。そのため、インコースも上手くさばいて打つ事が出来ている。キャンプ序盤のフリー打撃では、それほど存在感ある打撃は披露できていなかったが、打席を重ねるごとに成長しているような印象である。手痛い走塁ミスもあったが、これからも白崎浩之、宮崎敏郎と併用して起用されていきそうだ。

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23日は千葉ロッテマリーンズとの練習試合で、先発は濱口遥大が予定されている。予定では3イニングを投げ、その後は尾仲祐哉が2イニング、好調の野川拓斗が1イニングを投げる予定である。ロッテはラミゴとの練習試合でホームランを放った平沢大河セカンドにコンバートされた鈴木大地角中勝也あたりがよく振れているようである。濱口からしたら昨年のパ・リーグ首位打者角中相手にどう挑むかが鍵になりそうだ。角中は昨年対左投手に対して打率.308と苦にしておらず、濱口のウィニングショットであるチェンジアップの球種別安打率は.483と滅法打ち込んでいる。キャンプ疲れも相当あるだろうが、相当神経を使いながら投球することになりそうだ。逆に言えば、この試合でも好投出来れば開幕ローテーションはぐっと近付くだろう。厳しい戦いが予想されるが、濱口の投球に注目したい。

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前回の記事に引き続き、残り2球団の注目選手を取り上げた。

 

読売ジャイアンツ・今村信貴】

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山口俊は巨人に移籍したはずだが、ついこの間まで川崎市に行けば一応会えたみたいである。21日の時点で中腰の捕手相手に40球ほどの投げ込みを行う程度であり、ブルペンでも全力投球出来ない状態なのだから、開幕ローテーション入りは相当厳しいだろう。早ければ4月下旬~5月頃に一軍合流出来れば上出来といった感じか。他にも、陽岱鋼が離脱し、ルーキー吉川尚輝、畠世周も怪我や手術で今年は一軍でアピールするのも難しい状態と言える。巨人OBからも「キャンプに活気が無い」と酷評される声も聞こえ始め、由伸政権2年目は苦しいキャンプを過ごしている。

サムスンとの練習試合で9-0の大敗を見せるなど船出こそ厳しいものだが、戦力から言えば泥舟ではなく豪華客船並のチームであることは間違いない。新外国人カミネロはこの時期で155キロという豪速球を披露していたり、去年散々ハマスタで猛威を奮ったギャレットも場外弾をかっ飛ばして好調さをアピールしている。若手では去年の春季キャンプで大きな話題を集めた重信慎之介が今年も好調で、若手中心に組まれた打線の切り込み隊長として自慢の快足を武器に結果を残している。投手では今村信貴の評価が高そうだ。山口の人的補償候補として今村も取り上げたが、結局ベイスターズが選んだのは平良拳太郎。ここまで平良は自分の持ち味を発揮し好投を続けている。おそらくだが、週末の巨人とのオープン戦でも登板機会が与えられるだろう。今の段階ではまだ2軍キャンプで調整している今村だが、オープン戦では平良との投げ合いが見てみたい。

【読売ジャイアンツ編】オレが戸柱なら、ギャレットはこうやって抑えるね。 - ベイスターズが負けて喰うメシは旨いか

広島東洋カープ堂林翔太

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裏方さん10人がノロウィルスに感染し集団離脱するという前代未聞の事態に巻き込まれた昨年の覇者・カープ。期待の若手野間峻祥大瀬良大地、丸佳浩エルドレッドといった主力も怪我で離脱するなど、全体を通してあまり良いニュースが無いような気がするが、ルーキー加藤拓也、床田寛樹を始め、船越涼太、安部友裕といった若手選手は充実したキャンプを送っているようである。昨年18試合に登板し、シーズン後半からローテーション入りした岡田明丈は投球フォームの改造に取り組んでおり、紅白戦では好投している。おそらく今年はローテーションの軸としても活躍が期待できる投手だけに、手強い相手になりそうである。

打者では堂林翔太の打撃フォーム改造が少しづつ成果として現れているようである。筒香もそうだったが、元々素質ある打者が一度壁にぶつかった末に打撃フォームが固まると一気に開花することがある。今年は外野手にコンバートされて紅白戦、練習試合ではセンターを守っており、堂林にとっては勝負の一年になりそうだ。高校時代から見ている堂林だが、個人的には打撃タイトルを狙えるだけのポテンシャルや打撃技術は持っている選手だと思っている。石井琢朗コーチとマンツーマンで取り組んだ成果が今年発揮出来れば相当活躍しそうだ。奇しくも堂林は今年、新井貴浩石原慶幸とともに護摩行に初めて参加している。護摩行パワーの凄さは前に一度触れたが、本当に侮れなくなりそうだ。

【広島東洋カープ編】なぜ新井貴浩は護摩行に向かうのか。 - ベイスターズが負けて喰うメシは旨いか 

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